アミューズメント施設のコスト削減方法をご紹介!快適さを維持しながら経費を圧縮しよう

映画館やカラオケ、ゲームセンターなど、街中を歩いているとさまざまなアミューズメント施設を目にしますが、2020年から続いているコロナ禍で客入りが減少し、厳しい経営を余儀なくされているケースが多いかもしれません。
なお「オンラインの娯楽」(動画配信サイト、ゲームなど)のみで満足できる人は少数派であり、多くの人は外出自粛にストレスを感じています。「コロナ疲れ」という単語も登場しました。
「リアルの施設に出向いて娯楽に興じたい」という人は多いので、新型コロナ感染症の流行が落ち着けば、再び2019年以前のようなにぎわいを取り戻すことでしょう。
ポストコロナ時代まで生き延びるためには、売上の大幅な伸びが期待できない以上「コスト削減」を実行するしかありません。
本記事では、アミューズメント施設の運営者やコスト削減担当者に向けて、施設の快適さを維持しながら経費を圧縮する方法について徹底解説します。
「アミューズメント施設」とは?
アミューズメント施設とは、人々が娯楽に興じるための施設であり「遊園地」「ゲームセンター」「ボーリング場」「映画館」「カラオケ店」などが該当します。
乗り物やゲーム機など、多くの機器類が電力を大量に消費するほか、快適さを維持するための照明や空調、冷暖房にも多額のコストがかかります。施設を運営し、顧客にとって快適な空間を維持するためには、ある程度の経費の発生は避けられません。
ただし、さまざまな部分に無駄が潜んでいることが多く、工夫次第でコスト削減を実現できる可能性があります。
アミューズメント施設の維持に必要な経費
アミューズメント施設の維持に必要な主な経費としては「電気料金」「ガス料金」「水道料金」「人件費」「賃料」が挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。
電気料金
照明や冷暖房、空調をはじめとした機器・設備を稼働させるために、日々「電気」が使用されます。毎日かかるものなので、1年間を通してみると大きな金額になることにご留意ください。
なお、アミューズメント施設といっても多種多様であり、施設ごとに金額は異なります。ゲームセンターでは、空調や照明のほかに、多数のゲーム機が常に稼働しているため、電気代が大きくなる傾向が見受けられます。
ガス料金
暖房、調理などでガスが使用されます。ただし、必ずガスが使用されるとは限りません。
「オール電化」の施設の場合は、電気で暖房や調理が行われます。また、ビルなどではボイラーで重油を使って建物を暖めているケースがあるほか、小規模な施設では灯油ストーブを使用しているケースもあります。
水道料金
水を使用する遊戯設備やトイレなどでは、水道が使用されます。また、料理を提供するアミューズメント施設の場合、調理を行う際に「水」が欠かせません。
なお、多くの市町村では、使えば使うほど高くなる「逓増制」の料金体系が採用されています。そのため、使用量が多いアミューズメント施設では、一般家庭に比べて水道料金の負担が重くなることを覚えておきましょう。
人件費
人件費も、コストとして無視することはできません。ただし、契約期間の定めがない正社員については、いつでも自由に解雇できるわけではないことにご留意ください。以下に示す「整理解雇の4要件」を満たす必要があり、解雇は容易なことではありません。
・「解雇しなければ、経営破綻する」という高度な必要性がある
・解雇を実施する前に「役員報酬削減」「新規採用停止」「希望退職者の募集」などを行う
・客観的な基準(能力・業績など)に基づいて解雇対象者を選定する
・解雇の基準や必要性などをしっかりと説明し、納得してもらう
「清掃などの人員を直接雇用せず、別の会社にアウトソーシングする」といった対応を行えば、フレキシブルにコストの調整が可能になることを覚えておきましょう。
賃料
そのほか、アミューズメント施設には、賃料や共益費がかかることも忘れてはなりません。金額は物件によって異なり「交通アクセス」「築年数」「面積」などの要素によって変動します。
なお、自社の土地・建物であれば賃料は発生しませんが、固定資産税がかかることにご留意ください。
アミューズメント施設のコスト削減方法
ここからは、アミューズメント施設のコストを削減する方法について説明していきます。
施設全体のコストを可視化する
施設全体のコストを可視化し、その中から削減できるものを抽出しましょう。なお「何が削減可能で、何が削減できない(してはならない)のか」は、施設の運営方針によって変わります。
例えば、アミューズメント施設によっては、最寄り駅と施設を往復する送迎用無料シャトルバスを運行しているケースもあるでしょう。その場合「公共交通機関や自家用車で来る顧客だけで充分」という方針を採れば、送迎サービスを切り捨てることにより、運行コストを削減できます。
施設の省エネ性能を向上させる
施設の省エネ性能を向上させることも、コスト削減に役立ちます。例えば「省エネ性能の高い機器・設備(空調、冷暖房など)に切り替える」「屋根に遮熱塗装を施し、建物の断熱性を向上させる」「LED照明に切り替える」といった対応を検討しましょう。
なお、省エネ関連の公的助成制度(補助金)を活用することで、導入費用を抑えることが可能なケースもあります。資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」に各種補助金の情報が掲載されているので、条件などをチェックして、自社に適したものにお申し込みください。
エネルギーマネジメントシステムを導入する
情報通信技術によって施設のエネルギー(電気やガスなど)の使用状況をリアルタイムに把握・管理できる「エネルギーマネジメントシステム」の導入もご検討ください。
エネルギーマネジメントシステムを利用すれば、ピークシフト(料金が割安な夜間に蓄電池を充電し、昼間に利用する)によって使用電力量が平準化され、料金の抑制が可能になります。
プランや契約を見直す
「他の業者に乗り換える」「プランを変更する」など、電気やガスなどの契約そのものを見直すことも、コストを削減する上で大切です。電気料金については、地域の電力会社よりも小売電気事業者の方が割安です。
賃料については、まずは値下げ交渉を行いましょう。テナントが入居しなければ、オーナーは収入を得られないため、ある程度であれば交渉に応じてもらえるケースもあります。交渉が不成立に終わった場合は、契約更新のタイミングで施設を移転することもご検討ください。
無人化により、人件費を削減する
入退館や会計を無人化・自動化するシステムを導入すれば、人員を他の部門に回せます。新たに人員を雇い入れる必要がなくなるため、人件費の削減が可能です。
近年、インターネットカフェなどで、入退館や会計を顧客自身でタッチパネルやセルフレジなどを使って行う店舗が増加しています。コスト削減だけではなく、人手不足の解消にも役立つので、導入を検討してはいかがでしょうか。
コスト削減を実行する際には、快適さが失われないように注意すること
アミューズメント施設の目的は、人々に対して「楽しさ」を提供することです。コスト削減ばかりに気を取られていると、空間の「楽しさ」や「快適さ」が失われ、客離れを起こしてしまうリスクがあることにご留意ください。
照明を暗くしすぎない
店内が暗すぎると「楽しさ」を感じられなくなってしまう可能性があります。「照明をLEDに換えて、明るさを維持しながら、消費電力を小さくする」といった工夫をしてください。
ただし、ゲームセンターやダンスホールなどでは店内を暗くしているケースも数多く見受けられるので、一概に「ダメ」とも言い切れません。アミューズメント施設の種類・コンセプトに適した形で対応しましょう。
快適な室温に保つ
「寒すぎる」または「暑すぎる」といった問題があると、顧客が「楽しい」と感じられなくなってしまいます。
顧客が離れてしまって売上が落ちたら、施設の存続が危うくなります。冷暖房のコスト削減に取り組むあまり、施設の快適さが失われることのないように注意しましょう。
なお、会員制のインターネットカフェやカラオケ店の場合、顧客に対してアンケートメールを送信し「室温が適切だったか」といった質問に回答してもらうこともご検討ください。回答結果を分析した上で「不適切」と判明した場合は、温度設定を変更しましょう。
コンサルタントからアドバイスをもらうことも検討
社内で議論しているだけだと、サービスを提供する側の視点からの議論に終始しがちです。
さまざまな業者がコスト削減に関するコンサルティングを行っているので、外部のアドバイスを参考にすることもご検討ください。
顧客にとって魅力的な環境を維持しつつ、コスト削減に努めよう
コスト削減ばかり考えて、施設の「快適さ」や「楽しさ」が失われると、売上が減少するリスクがあります。アミューズメント施設は「魅力的な空間」でなければ、顧客が離れてしまうリスクがあることを認識しておきましょう。
施設の魅力が失われない範囲で削減可能なコストを抽出し、ITツール(エネルギーマネジメントシステムやセルフ入退館システム、無人レジなど)も活用しながら経費圧縮に取り組むべきです。
人件費や賃料についても「人員削減をしすぎて、接客するスタッフが足りない」「賃料は割安だが、立地条件が悪い」といった状況に陥らないようにご注意ください。
本記事の内容が、アミューズメント施設の運営者やコスト削減担当者のお役に立つことができれば幸いです。
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