商業施設の運営には、さまざまな費用がかかる!コスト削減によって、経営を安定させよう

商業施設の運営には、さまざまな費用がかかる!コスト削減によって、経営を安定させよう

近年、オンラインショッピングの利用者が増加し、新型コロナウイルス感染症の流行も収束しない状況の中、苦しい経営を余儀なくされている商業施設も多いのではないでしょうか。

スーパー、アパレルショップ、飲食店などの商業施設を運営する際には、さまざまな費用(賃料・共益費、水道光熱費など)がかかりますが、厳しい経済環境の中で勝ち残るためには、コスト削減に努め、手元の資金を充分に確保しておく必要があります。

ただし、コスト削減を実施する際は、施設の「快適さ」が失われて客離れを招かないように注意しながら取り組まなければなりません。

本記事では、商業施設の経営者やコスト削減担当者に向けて、施設の運営にかかるコストをご紹介した上で、削減するメリットや、上手に削減する方法について徹底解説します。

商業施設を運営する際に発生するコスト

商業施設の運営には、一般的に以下に示すようなコストが発生します。

賃料・共益費

商業施設を運営する場合、「賃料」や「共益費」などを毎月支払う必要があります。金額は、物件(面積や立地条件など)によって千差万別です。

なお、賃料の形態としては、一定金額に固定されているケース(固定賃料)が一般的ですが、売上に応じて変動するケース(「変動賃料」または「歩合賃料」と呼称)や、それらが組み合わされたケースもあります。

固定賃料の場合は、値下げ交渉を行って毎月の固定費の削減につなげましょう。話し合いがまとまらない場合は、賃料が安い物件に移転することもご検討ください。

ところで、契約によっては「中途解約不可能期間が設定されている」というケースがあるかもしれません。そのような物件を借りていて、交渉しても契約内容を変更できなかった場合は、賃料以外のコストの削減に目を向ける必要があります。

契約内容によっては、売上に応じて賃料が変動するケース(あるいは、固定賃料と変動賃料が組み合わされているケース)もあります。その場合は、「計算方法の変更」を求めて交渉を行いましょう。

売上に応じて賃料が変動する場合は、売上が拡大しても、それに比例して賃料も増加します。賃料以外のコスト(水道光熱費など)の削減にも取り組んで、利益(=売上-経費)の増大を図らなければなりません。

水道光熱費

賃料や共益費のほかにも、商業施設の運営には「水道料金」「電気料金」「ガス代」などがかかります。これらの費用を圧縮することも、施設運営コストを小さくする上で欠かせません。

ただし、商業施設では「快適なショッピングが可能な環境」を提供する必要があります。水道光熱費を節約しすぎて顧客が不快になってしまうことは避けましょう。「照明が暗すぎる」「店内が寒すぎる/暑すぎる」という状態に陥ると、客入りが低下する可能性があります。

「LEDに交換して、従来の明るさを維持しながら消費電力を低減する」など、快適さを損なわない範囲・方法で節電を実行してください。

なお、電力会社などが共同開発した電力負荷平準化システム「エコアイス」を導入し、夜間時間帯の電力(料金が割安)で氷や温水を形成し、それを昼間の冷暖房・空調に利用することも選択肢のひとつです。

そのほか、雨水を貯め、処理を行った後にトイレで使用するシステム(雨水槽)を利用すれば水道料金を抑えられます。地震などの自然災害で水道インフラが使用できなくなる状況に備える意味でも、導入を検討してはいかがでしょうか。

その他のコスト

賃料や水道光熱費以外にも、商業施設の運営にはさまざまなコスト(現金の輸送や残高確認業務に伴う費用、FAXにかかる費用、紙・インク代など)がかかることを認識しておきましょう。

なお、一般消費者にモノやサービスを販売するBtoC取引においては、電子マネーやクレジットカード、デビットカードといったキャッシュレス決済手段に対応することで、現金輸送費を削減できるほか、レジにおける残高確認業務が減少し、省人化(人件費の圧縮)につながります。

現金払いを好む顧客もまだ多いので、完全に現金決済をなくすべきではありませんが、現金の取り扱いコストが増大する傾向にある(例えば、ゆうちょ銀行では2022年1月17日以降、取り扱う硬貨の枚数に応じた「手数料」を設定)ので、なるべくキャッシュレス決済に誘導しましょう。

そのほか、FAXを利用している場合、紙やインクを購入する費用が発生することにもご留意ください。電話回線ではなくインターネットを介してデータをやり取りする「インターネットFAX」を導入すれば、Eメールの添付ファイルとして送信されるため、紙やインクの節約を実現できます。

コスト削減のメリット

近年、オンラインショッピングの利用者が増加し、老舗百貨店が店舗数を削減するなど、商業施設を取り巻く状況は厳しくなっています。特に2020年から続いている新型コロナウイルス感染症の流行は、リアル店舗からの客離れを後押しする結果になりました。

従来通りの施設運営を続けている状態では、先細りが避けられません。不確実性が増し、先行き不透明な環境の中で競争を勝ち抜くためには、売上を伸ばす施策と同時に、コスト削減にも取り組む必要があります。

賃料や水道光熱費などを削減できれば、手元に残る現金が増え、経営判断の選択肢を増やせます。これまでと異なる分野に参入するなど、新たなビジネス展開も容易になるほか、金融機関や投資家からの信用も得られやすくなるでしょう。

商業施設のコストを削減する方法

以下、商業施設のコストを削減する方法をご紹介します。

契約内容を見直す

水道料金については、基本的に契約内容を変更する余地がありません。ただし、上述したように、雨水槽を導入することでトイレにおける水道使用量を減らすことは可能です。

賃料や電気料金、ガス料金であれば、「値下げ交渉を行う」「移転する」「他の業者に乗り換える」「プランを見直す」といった対応を行いましょう。ちなみに、電気については、各地域の電力会社(東京電力、関西電力など)から新電力(小売電気事業者)に乗り換えることで料金を低減できます。

「契約解除不可能期間が過ぎ去っていない」「値下げ交渉が実を結ばなかった」「これ以上安いプランが見当たらない」といった場合は、契約内容の見直し以外の手段でコストを圧縮することに目を向けましょう。

例えば、「無人の部屋・エリアの照明を消す」など、無駄を徹底的につぶしていけば施設全体のコスト低減を実現できます。ただし、客商売である以上、消灯には限界があります。少ない電力で同じ明るさを実現できるLEDに切り替えるなど、快適さを損なわないような形で取り組んでください。

なお、使用する電力の少ない空調設備に切り替えることもコスト削減に有効です。経年劣化した機器類を使い続けていると消費電力が大きくなる場合があるので、故障したタイミングで、あるいは、レンタルしている機器の契約更新を迎えた際に、消費電力の少ない製品への乗り換えを検討しましょう。

ITを活用した業務の見直し

これまでと同じ業務フローを続けているままでは、コストを削減できません。省人化できる業務プロセスがあれば、自動化して人件費の削減につなげてください。例えば、RFID技術(ICタグ)やAIによる画像認識技術を用いて商品の認識・会計を行う「無人レジ」の導入も検討しましょう。

小売業(スーパー、衣料品店など)のレジを無人化すれば、会計業務に従事していた人員を別の業務(商品陳列、顧客対応など)に回すことが可能になり、新たな人員の雇い入れが不要になるので、人件費の抑制に寄与します。

飲食店の場合は、客自身でタッチパネルなどの手段で注文を出す「セルフオーダーシステム」を導入することで、注文を取るための要員を調理・配膳・清掃などに回せます。非対面で注文することにより、感染症対策としても効果があるので、利用を検討してはいかがでしょうか。

また、「いつ、どこで、どのくらいのエネルギーを使っているのか」をリアルタイムで把握し、使用状況の最適化(「料金が割安な夜間に蓄電・蓄熱し、昼間に利用する」など)を行うITツール(エネルギーマネジメントシステム)の導入も、コスト削減に役立ちます。

節電はコスト削減に有効ですが、人間の手でスイッチのON/OFFを行うことには限界があります。ITツールを導入し、人感センサーなどでトイレなどの無人状態を感知して自動的に照明をOFFにする仕組みを構築して無理なく省エネを実現しましょう。

商業施設のコストを削減して経営基盤を強化しよう

商業施設の運営には、「賃料・共益費」「水道光熱費」など、さまざまなコストがかかります。新型コロナウイルス感染症の流行が収束せず、オンラインショッピングの利用者が増加し続ける中、厳しい運営を余儀なくされているリアル店舗も多いのではないでしょうか。

先行き不透明な状況においては、コストを削減し、充分なキャッシュを確保しておかなければなりません。手元にまとまった現金があれば、これまでと異なる分野への参入や新しいビジネス展開を行うことが容易になり、経営基盤が強化されます。

コスト削減に取り組む際は、まず自店舗が置かれている状況を客観的に分析し、無駄なコストを徹底的に洗い出す必要があります。その上で、快適さが失われないように留意しながら、費用の圧縮に努めましょう。

なお、「無人レジ」や「セルフオーダーシステム」を導入して人件費の圧縮を行うとともに、「エネルギーマネジメントシステム」で光熱費を可視化して最適化を図るなど、「ITツール」を活用することも大切です。

本記事の内容が、商業施設の経営者やコスト削減担当者のお役に立つことができれば幸いです。