浄化槽清掃業者を比較する際のポイントとは?コストを削減する方法についてもご紹介!

浄化槽清掃業者を比較する際のポイントとは?コストを削減する方法についてもご紹介!

浄化槽とは、調理場やトイレなどから排出された汚水を、微生物の働きなどを利用して浄化し、川などに放流するための設備です。一般的には下水道が敷設されていない場合に設置されるものであり、「どの建物にも必ず設置されている設備」というわけではありません。

 

下水道が敷設されている場合は、汚水を下水道にそのまま流し、地域の下水処理施設で一括処理されます。そのため、下水道の普及率が高い地域で事業を営んできた経営者の中には、「浄化槽」という設備について見聞きしたことがない方もいらっしゃるでしょう。

 

浄化槽はさまざまな施設(「戸建て住宅」「集合住宅」「学校」「医療機関」「事務所」「各種商業施設」「ホテル」など)に設置されるものですが、浄化槽が設置されている施設の管理者には「清掃を実施する義務」が課されることにご留意ください。

 

本記事では、浄化槽を設置している建物を管理している方や、これから担当する予定の方に向けて、法律によって清掃義務が課されていることや、清掃を実施しなければならない頻度、費用、清掃業者を選定する際のポイントについて解説したうえで、補助金・助成金を活用したコスト削減策もご紹介します。

1.浄化槽の管理者には、清掃義務が課せられる

浄化槽に入り込んだ汚水は、「沈殿」「浮上」といった物理的な作用や、微生物の働きによって浄化されたうえで、川などに放流されます。

 

汚水が浄化される過程で、浄化槽には必ず「汚泥」や「スカム(表面に形成されるスポンジ質の厚い膜状の浮きカス)」が生じ、これらがたまりすぎると浄化槽の機能に支障をきたし、処理が不充分になって放流水の水質が悪化したり、悪臭が発生したりすることにご留意ください。

 

なお、「浄化槽法」によって、浄化槽の管理者に対して、「定期的に清掃(汚泥やスカムを抜き取る作業)を実施する義務」が課せられていることを覚えておきましょう。

 

清掃義務を果たしていない場合、都道府県知事から浄化槽の管理者に対して「清掃を実施せよ」という内容の命令が出されることがあります。命令が出されるケースは多くないものの、万が一、命令が出されて、それに従わなかった場合、100万円以下の罰金刑などを科される可能性があるのでご注意ください。

 

ちなみに、清掃のほかに、保守点検や水質検査の定期的な実施も義務付けられています。浄化槽の清掃および保守点検の記録は、「3年間」にわたって保存しておかなければなりません。

 

岐阜県のように、「清掃」「保守点検」「水質検査」の3つを担う企業などが連携して、一括して契約を締結する取り組み(「らくらく一括契約」)を推進し、契約者に対して料金の割引や無償修理を実施している地域もあるので、各自治体の公式サイトをチェックしましょう。

2.浄化槽の清掃頻度

浄化槽の清掃は、基本的に年に1回以上実施しなければなりません。なお、空気を供給して微生物の働きを活発化させ、汚物を浄化させる「全ばっ気型」の浄化槽については、汚泥がたまりやすいため、半年に1回以上の清掃が義務付けられています。

 

各地域に、自治体(市町村)から「浄化槽清掃業」の営業許可を受けている専門業者が存在するので、その業者に依頼しましょう。自社の従業員で清掃作業を実施する必要はありません。

 

自治体や都道府県浄化槽協会の公式サイト上に「浄化槽清掃業の許可を受けた業者の一覧」が掲載されているのでご確認ください。分からない場合は、市区町村役場や保健所の浄化槽担当部署に問い合わせましょう。

 

上述したように「清掃」とは別に、「保守点検」や「水質検査」についても定期的に実施する義務があることにご留意ください。保守点検の実施頻度は「環境省関係浄化槽法施行規則第6条」によって定められており、浄化槽のタイプや人槽によって異なります。

 

また、水質検査については、「浄化槽の使用開始後3ヵ月を経過した時点から、5ヵ月以内に1回」および「その後、毎年1回」実施しなければなりません。詳細については各自治体の公式サイトを確認するか、担当部署にお問い合わせください。

3.浄化槽清掃の費用

清掃費用は、浄化槽の「サイズ(処理能力、キャパシティ)」によって異なります。各業者の公式サイトを閲覧すると、「料金表」が掲載されているケースがあるのでご確認ください。掲載されていない場合や、不明な点がある場合は、電話などで問い合わせましょう。

 

ちなみに、浄化槽のサイズ(処理能力)は「人槽」という単位で表され、現在設置されている浄化槽には、5人槽から数万人槽まで、さまざまなものがあります。なお、「居住者が1人なので、1人槽」「客数がおおよそ10人程度なので、10人槽」といった決め方ではありません。

 

決定方法の詳細はJIS規格(JIS A 3302-2000、「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」)によって定められており、「建築物の用途(住宅、医療施設、店舗、娯楽施設、学校、事務所、工場、駅・バスターミナルなど)」や「延べ床面積」といった要素に基づいて算出されます。

 

同じサイズの浄化槽であっても、業者によって清掃料金が大幅に異なるので注意しましょう。例えば、「5人槽」の清掃料金の場合、「3万円台」としている業者もあれば、「1万円台」としている業者も存在し、大きな開きがあります。

 

清掃料金は、行政によって基準が定められているわけではありません。業者間の自由競争に委ねられており、料金に2倍程度の差があるケースも散見されます。必ず複数の業者に見積りをお願いし、料金の比較をしたうえで、慎重に依頼先を決定してください。

 

浄化槽の清掃作業は、毎年実施する必要があるものです。清掃費用はコンスタントに発生する「固定費」と捉え、なるべく料金が安い業者を選んでコスト削減に努めましょう。

4.浄化槽清掃業者を比較する際のポイント

まず、自治体から営業許可を受けている業者であるかどうかをチェックしましょう。市町村の公式サイトや、都道府県浄化槽協会の公式サイトに「許可を受けた業者の一覧」が掲載されています。浄化槽清掃業者を装った詐欺事件も発生しているので、依頼する前に、自治体や浄化槽協会のリストに業者名が掲載されていることをご確認ください。

 

そのうえで、1社が提示する料金だけを見て即断せずに、必ず「複数の業者」に見積りを出してもらって、比較を行いましょう。業者によって料金の差が2倍程度になるケースもあるので、相見積りをせずに依頼をするのは避けるべきです。

 

上述したように、浄化槽の管理者には、「保守点検」や「水質検査」を定期的に実施することも義務付けられています。浄化槽の清掃だけではなく、保守点検なども行っている業者にまとめて依頼すれば、連絡などを一元化することが可能になり、手間がかかりません。

 

浄化槽清掃業者は、各自治体から営業許可を受けて、地元密着で事業を営んでいるため、比較的小規模な業者が多い傾向が見受けられます。全国展開している浄化槽清掃業者は見当たりません。清掃業者の中にはホームページを作っておらず、料金体系が判然としないケースもあります。その場合は、電話やFAXで問い合わせましょう。

5.補助金・助成金を活用すれば、浄化槽清掃コストを削減できる

浄化槽の清掃が正しく行われないまま汚水が川などに流されてしまうと、水質が悪くなってしまうため、浄化槽法によって管理者に対して清掃義務が課せられています。

 

「法律で定められた義務ではあるものの、清掃業者に依頼する費用の負担が重い」とお悩みかもしれませんが、自治体(市町村)によっては浄化槽の清掃に対して補助金・助成金が支給されるケースがあるので、ぜひご活用ください。

 

浄化槽のサイズ(人槽)やタイプ、設置している物件が所在する区域などによって、補助金・助成金の対象になったりならなかったりするので、詳細については各自治体の公式サイトを確認しましょう。

 

なお、住民税を滞納している個人・団体・法人については支給されない場合があるので、ご注意ください。コスト削減につながるので、条件に適合する場合は、積極的に補助金・助成金の申請を行うべきです。

6.複数の浄化槽清掃業者に見積りを出してもらったうえで、依頼先を決めよう

下水道の普及率は、都道府県や市区町村によって大きな差があり、東京都のように99.6%の地域もあれば、徳島県のように18.6%の地域も存在します(数値は、令和2年度の人口当たりの普及率)。

 

これまで下水道の普及率が高い地域(東京都や横浜市、大阪市など)で事業を営んできて、新たに普及率の低い地域(徳島県、和歌山県など)への進出を検討している経営者の中には、「浄化槽の管理者に対して、清掃・保守点検・水質検査の義務が課せられているなんて知らなかった」という方がいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、「法律を知らなかった」などという言い訳は通用せず、清掃などを怠っていると、都道府県知事から命令を出されたり、場合によっては罰金刑などを科されたりする可能性もあるのでご注意ください。浄化槽法により、浄化槽の管理者に対して「定期的に清掃などを実施する義務」が課されていることをしっかりと理解しておきましょう。

 

なお、清掃料金の設定は自由競争に委ねられているため、同じサイズの浄化槽であっても、業者によって2倍以上の差があります。各自治体や都道府県の浄化槽協会の公式サイト上に、浄化槽清掃業者の一覧が掲載されているので、複数の業者に見積りを出してもらったうえで、なるべく料金の安い業者に依頼しましょう。

ちなみに、自治体によっては、補助金や助成金が出る場合もあります。コスト削減につながるので、ぜひ活用をご検討ください。