アパレル業のコスト削減ポイント6つ|物流や経費の見直しから始めよう

アパレル業のコスト削減ポイント6つ|物流や経費の見直しから始めよう

コスト削減は企業にとって代表的な課題ですが、アパレル業界も例外ではありません。

ニーズの多様化や激しい価格競争など、コスト削減の必要性が高まっているためです。さらに、新型コロナウイルスの影響でソーシャルディスタンスの確保など、さまざまな対応に迫られているアパレル企業も少なくありません。では、現状を乗り越えつつ、企業が継続的に成長を続けていくためにはどういった工夫を取り入れれば良いでしょうか。この記事ではアパレル業のコスト削減のポイントを具体的に解説します。さらに、アパレル業界が抱えるコスト削減の悩みについても取り上げるので、ぜひ参考にしてください。

アパレル業界のコスト削減ポイント6つ

ここからはアパレル業界のコスト削減ポイントを6つ紹介します。

店舗スタッフの再配置

店舗スタッフは人件費の観点から非常に大きな費用です。特に、実店舗を展開しているアパレルショップでは、売り上げに関係なくスタッフを配置しなくてはなりません。一方でスタッフが多過ぎても余計な人件費がかかってしまいます。ここで考慮すべきは、店内に何人のスタッフが必要かどうかです。

昨今の利益率が高いアパレル企業では、店舗に無駄なスタッフを配置せず、お客様が服を選び、スタッフから過度な営業をかけないというスタンスを徹底しています。したがってスタッフを再配置する際は、スタッフが過度に接客するのでは無くお客様がレジに持っていき、困ったときのみスタッフに頼るということを意識しなくてはいけません。

また近年では、特定の地域やターゲットに特化したWebサイトやECサイトを制作して見込み客にアピールしたり、経営者自らSNSで情報を発信したりといった手法も見られるようになってきました。こういった仕組みは気軽に始められ、コストパフォーマンスにも優れています。閑散期にはスタッフをWeb集客に手配し、繁忙期に店舗に再配置するといったように、状況に応じて臨機応変に立ち回りましょう。

余剰在庫を減らす

アパレルは返品リスクが高く在庫を抱えやすい業界です。そのため、いかに余剰在庫を減らせるかがコスト削減に直結します。余剰在庫を効率的に減らしていくには、以下のポイントが重要です。

在庫状況の情報共有

まずは現場の在庫状況を正しく把握することからスタートしましょう。在庫状況が明確になっていなければ、コスト削減に向けた余剰在庫の削減も行えません。在庫状況の把握のポイントは、情報が全体に共有されていることです。全体で在庫状況の情報が共有されていれば、在庫の二重記帳やカウントミスといったヒューマンエラーを削減できます。在庫の場所を明確にして、整理整頓などの基本動作を徹底しましょう。そして、在庫管理のルールを共通認識として明文化することも忘れてはいけません。

管理環境の再構築

次に、在庫の管理環境についても見直し、問題点を改善するアクションを起こしましょう。

例えば、在庫管理を特定の従業員しか理解していない環境には問題があります。属人化した業務はトラブルに弱いだけでなく、在庫管理の情報共有の妨げにもなります。すべての従業員が在庫管理を理解でき、必要に応じて誰でも業務を行える環境を作りましょう。まずは、作業工程が見えないブラックボックスの業務運営は避けるため、業務フローの整理からのスタートがおすすめです。アルバイトや経験の浅い従業員でも在庫管理ができるように、管理環境の再構築を進めましょう。

在庫の可視化

在庫状況を見える化する取り組みも行いましょう。ビジネスのさまざまな場面で見える化は大切ですが、在庫管理も例外ではありません。見える化の工夫の例としては、在庫を保存する倉庫でも行えます。棚に番号や目印となるマークなどを振れば、商品をどの棚に置いたのか容易に把握できます。

ちなみに、全体的な管理には在庫管理システムの導入が有効です。在庫の状況が数字やグラフでわかります。現状で見える化できていない問題点を明確にして、対策を考えましょう。

倉庫内の在庫管理の最適化

余剰在庫を無くすことも大切ですが、アパレル業界はシーズンごとに服を一新する都合上シーズンピーク時の在庫が必要不可欠です。したがって、各シーズンになるべく多くの商品を提供するために、適正な在庫量の確保と在庫管理の最適化を図る必要があります。そのためには以下のような方法が効果的です。

需要予測を社員全員で共有する

在庫状況の情報共有だけでなく、需要予測のデータも社員全員で共有しましょう。将来の予想される在庫の状況を全体で認識できれば、在庫に対して最適なアクションを起こせます。例えば、季節的な需要増加が考えられるデータが揃っていれば、事前に在庫の準備を進められます。こうしたアパレルの需要予測は経験者の勘に依存するケースも少なくありませんでした。しかし、それだけでは根拠に乏しく情報共有にも優れません。昨今ではAI技術などを活用したツールが広まっているので、導入を検討してみましょう。

RFIDで検品を正確に行う

RFIDとはICタグの情報を電波によって非接触で読み書きできる技術です。複数のICタグを離れた場所から一括で読み取ることが可能なため、アパレルなどの商品管理との相性に優れます。例えば、ダンボールなどに梱包された状態の商品でも取り出さずに一括で読み取れるため、在庫チェックや検品などの作業効率をアップできます。倉庫内の在庫管理を最適化する方法として、RFIDを検討してみましょう。

リアルタイムに状況を確認する

入れ替わりの激しいアパレルの在庫をアナログに管理するには限界があります。リアルタイムに状況を確認するためには、ITツールの導入が欠かせません。在庫の可視化でも推奨した在庫管理システムが活躍します。在庫管理システムは在庫情報をリアルタイムで管理することに優れています。入出荷・棚卸・不良在庫・返品などを適切に管理する機能が充実しているのです。商品の品目の追加や削除など、アパレルの変化にも在庫管理システムは柔軟に対応できます。

物流フローを再構築

アパレル業界では、商品の原価に物流費などの経費を上乗せして価格を設定することがほとんどです。特に、近年では楽天やZOZOをはじめとするアパレルECサイト、フリマサイトやネットオークションなどの個人間売買による物の流通が増えてきました。そうした影響で配送の需要と運送会社による供給のバランスが崩れています。さらに、慢性的なトラックドライバーの不足で物流費はさらに上がる傾向にあります。そのため、アパレル業界がこういった打撃を最も受けやすい業界だと言われているのです。物流経費削減のためには、以下の項目を見直してフローを再構築する必要があります。

不必要な物流費用

まず、現在日常的に発生している物流費の詳細を細かく洗い出してみましょう。ちなみに、物流費には、航空便や船便、陸送にかかる物流費、倉庫賃貸料などの保管料としての物流費、段ボールなどの梱包資材、緩衝材を購入するための物流費、仕分けやピッキングなど人件費としての物流費などが挙げられます。これらを月単位で算出し、競合他社と比較して削減できる部分はないか検討してみましょう。

システムや倉庫管理

アパレルという取り扱う商品の特性上、夏物に比べると冬物はどうしてもかさ張り場所を取ってしまいます。しかし、季節に応じて保管スペースを変えれば、余分な場所代を削減可能です。さらに、スマートフォンと連携できる管理ツールの導入で、ワンストップで検品が終了する場合もあります。倉庫内の人件費・管理費がかかりすぎていると感じた場合は検討してみると良いでしょう。

作業効率

さまざまな作業が必要なアパレルならではの物流では、タイムロスによる作業効率の見直しが急務です。そのためには倉庫面だけでなく、輸送面の作業工程を見直す必要があります。

商品原価を抑える

商品原価を抑えて粗利益を獲得する取り組みは、アパレルを展開するうえで大切な戦略です。原価率の低い商品を発掘して自社ブランドにしたり、関連商品の販売を強化して客単価をアップさせたりと、さまざま商品原価を抑えていることを感じさせない手法もあります。

また、ターゲットを主婦層に絞ることで商品原価を抑えつつ、ローコストオペレーションも同時に実現できる場合もあります。仮に仕入原価が下げられない場合でも、そのほかの経費を抑えて総合的な商品原価の削減が可能です。

消耗品・電気代の節約

消耗品や電気代に無駄が生じていないか考えてみましょう。例えば、普段使っている消耗品の量は同じ規模の競合他社と比較して適切でしょうか。また、余計なワークフローや業務負荷のせいで不必要な電気代が発生していないでしょうか。このように、日々の運営からカットできる消耗品や電気代を細かくチェックすることもコスト削減への大きな一歩です。必要に応じて店舗や部署ごとの社員アンケートを実施して、身の回りの無駄に気を配るようにしましょう。

アパレル業界が抱えるコスト削減での悩み

次に、アパレル業界が変えるコスト削減のお悩みをいくつかピックアップしました。自社が現在同じ悩みを抱えていないか、気になった方はぜひチェックしてみてください。

店舗のモチベーションが低い

アパレル企業が抱えるコスト削減の悩みで、最も顕著に表れているのが店舗と運営本部のモチベーションギャップです。仮に、適正在庫と維持のためのワークフローを作成しても、店舗との意識がずれてしまっていては実行に移すことは容易ではありません。また、昨今では新型コロナウイルスが流行しているため、アパレル業界は逆境に立たされています。そういった観点からも店舗スタッフ・運営者のモチベーションだけでなく販売力も下がってしまっている背景もあります。

実店舗とECの連動により作業量に変化

今はどこでも好きな場所から自由なタイミングで買い物が行える時代です。インターネットとスマートフォンの浸透でアパレル業界もビジネスが大きく変わりました。ここでも新型コロナウイルスの影響は大きく、実店舗ではなくECサイトからの購入が増加しています。多くのアパレル企業にとって実店舗とECは切り離せない関係にあり、連動させて在庫も考えなければなりません。実際の店舗や倉庫での作業量にも影響が大きいため、タイムリーな情報をベースに最適な業務運営を行える体制が求められています。

商品数に比例して管理コストが増加

アパレルには季節それぞれのファッション性や流行があり、シーズンごとに新商品を販売するショップが目立ちます。しかし、商品のラインナップを強みにして市場で生き残ろうとした場合、その商品数に比例して管理コストが重くのしかかってくることを忘れてはいけません。

経済成長と人口増加によって世の中にモノが溢れるようになり、アパレル業界も大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前になりました。消費者は恩恵として低価格で服が手に入るようになりました。しかし、こうした影響によりアパレル市場の価格競争は激化しているのです。余剰在庫や管理コストの増加も発生しやすくなっており、頭を抱えるアパレル企業が増えています。

ECによる物流需要の高まり

ECサイト・アプリなどを通じて、アパレル業界は目まぐるしいスピードで変化しています。

しかし、物流システムや料金体系はレガシーな部分が今でも少なくありません。出荷や配達などの量が増えて売上がアップしても、それ以上に物流原価が予算を苦しめてしまうケースも珍しくないのです。

アパレル業界のコスト削減での注意点

最後にアパレル業界のコスト削減における注意点を紹介します。

商品・サービスの質を落とさない

コスト削減は重要なミッションです。ただし、商品・サービスの質を落とさないように注意しましょう。もし、コスト削減に成功したとしても、商品やサービスの質を犠牲にしていたとしたら、大切な企業のファンを失いかねません。長年積み重ねたお客様との信頼関係も、商品やサービスに不備が生じればヒビが入ってしまいます。コスト削減の可否を明確にしてから、施策を進めるようにしましょう。

システムやデータを有効活用する

管理業務に余計なコストと時間を割いていると感じた場合、一元管理できるシステムやツールを積極的に導入しましょう。ここまでに紹介したシステムやツールを整理すると、在庫管理には「在庫管理システム」、検品には「RFID」、需要予測には「AIツール」が人気です。社内の在庫に関するデータは何もせずにそのままにしていては価値がありません。システムやツールを用いてデータを有効活用することで、コスト削減などに役立てることができます。手軽に利用を開始できるクラウド型のシステムも増えているので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

時代の変遷とともに色々な流行をアパレル業界は生み出してきました。インターネットやスマートフォン、動画配信サイトなど多様な技術を販売経路にも反映させ今も進化を続けています。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、生き残るための競争は激しさを増しています。コストを少しでも削減しようと、さまざまな工夫を施している企業が少なくありません。例えば、在庫や倉庫のあり方を見直したり、人材の活用方法を再考したり、抜本的な改革が求められている現場が目立ちます。一方で、なかなか思うように進まずに、悩みを抱えている企業も散見されます。ぜひこの記事で解説したコスト削減を推進させるポイントを参考にして、アパレルの物流や経費の見直しをスタートさせましょう。