企業が実践すべきコスト削減方法は?実施フローまで解説!

企業が実践すべきコスト削減方法は?実施フローまで解説!

「高い売上をあげているにも関わらず利益が少ない」という問題を抱えている企業は少なくありません。「もっと売上を上げれば利益も上がる」という考え方もありますが、効率的な方法とは言えないでしょう。

会社の利益とは売上からコスト(=経費)を差し引いた金額を指します。つまり、売上を上げなくても、コストを下げることで利益率を上げることも可能です。

コストを削減すると、会社の利益を上げるだけでなく、業務効率化や従業員の生産性の向上といった効果も得られます。

一方で、コスト削減を無計画に実施しても効果は期待できません。削減する対象や方法、目標などを明確にして、計画的に実行する必要があります。本記事では、企業で発生する経費の項目をご紹介するとともに、コスト削減方法や実施フローなどをご紹介します。

 

企業で発生するコストは?

コスト削減を実践する前に、一般的な企業で発生し得るコストについておさらいしておきましょう。

ここでは、オフィスコストやエネルギーコスト、ITコストなど項目ごとに解説します。

 

オフィスコスト

オフィスコストはオフィス内で必要な経費を指します。オフィスコストには事務用品や印刷用品といった備品のほか、テナントや倉庫などの家賃も含まれます。特別なこだわりがなければ、コスト削減の対象になるでしょう。

 

エネルギーコスト

エネルギーコストはインフラ周りの経費を指します。電気代・ガス代・水道代などの光熱費が該当です。光熱費は必要経費でもありますが、工夫次第でコスト削減を実現できるでしょう。

 

ITコスト

ITコストは業務に必要なパソコン・オフィスソフト・セキュリティソフト・モバイル端末などのIT関連機器および、通信費用などの総称です。IT化が進む中でITコストは高くなりやすいという側面があります。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書 2020」によると、2019年度における企業の売上高に占めるIT予算比率の平均は約2.21%と公表されています。

なお、同調査によると「 売上高営業利益率が高い企業の方が売上高に占める IT予算の割合が高い傾向にある」と結論づけられているようです。

 

システム維持・管理コスト

システム維持・管理コストは業務に必要なシステムやサーバーなどの導入・維持・管理にかかる経費を指し、ランニングコストとも呼ばれます。サーバーを維持するために必要な電気代やシステムの保守を担う要員の人件費なども含まれます。

 

採用コスト

採用コストは人材採用にかかるすべての費用の総称です。一般的には、広告費・入社案内・ダイレクトメール・セミナー運用費などが含まれます。

株式会社マイナビの「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、企業における新卒採用費の総額は平均約557.9万円、入社予定者1人あたりの採用費の平均は約48万円と公表されています。

なお、採用費総額の平均値は上場企業が約1,783.9万円、非上場企業が約375.1万円と、約1,408.8円の差があるうえで割り出された数値です。

自社における1人あたりの採用コストは「採用に要した費用総額÷採用人数」という計算式によって算出できます。

 

教育コスト

教育コストは人材教育に要する経費です。企業では人材採用後を含め、定期的に社員教育をする必要があります。

産労総合研究所の「2020年度(第44回) 教育研修費用の実態調査 」によると、2019年の教育研修費用総額は1社当たりの実績額が6,599万円、従業員1人当たりの同実績額が35,628円と公表されています。

 

人件費

人件費とは従業員を雇うために必要な費用です。人件費には従業員に支払う給与・各種手当・役員報酬・インセンティブ・残業代のほかに、法定福利費や福利厚生費などが含まれます。

自社の売上高に対する人件費の比率を知りたい方は「人件費/売上高×100」という計算式によって算出可能です。

 

交通費

交通費は従業員が業務を遂行する際の移動にかかる費用で、交通費には通勤や出張する際に必要な電車賃・新幹線代・飛行機代のほかに、ホテルの宿泊費なども含まれます。

 

企業が実践すべきコスト削減方法

オフィスコストをはじめ・ITコスト・教育コスト・人件費などは、会社を経営する上で欠かせない経費です。しかし、経費の中で無駄なコストが発生しているカテゴリは削減したほうが効率的と言えます。ここからは、具体的なコスト削減方法について解説します。

 

<方法①>オフィスの無駄をなくす

オフィス内で発生するコストは、オフィスコストやエネルギーコスト、ITコストなどが該当します。消耗品や光熱費などを見直す場合は使用量を抑えるといった工夫を凝らさなくてはなりません。

例えば、電気代を削減するために人がいない部屋の照明を消したり、蛍光灯をLEDやCCFL照明に変えたりする方法があげられます。従業員に周知することが困難な場合でも、照明のスイッチの側に「使用後はOFF」などの張り紙をするだけでも効果が期待できるでしょう。

また、コストがかさみやすい印刷費用を削減するために、社内で使用する資料はコピー用紙の裏紙を活用する、リサイクルトナーを使用する、印刷機の契約を見直すといった方法などがあげられます。

保守メンテナンス契約の見直しの一例として、滅多に故障しない場合は故障した際に修理代を支払うスポット保守へ切り替える方法など、さまざまな取り組みによって削減可能です。

さらに、事務用品などの備品のコストを削減するために、在庫や経費を管理する管理者を置いたり、まとめ買い購入による割引を活用したりする方法などもあります。

従業員が各自で購入できる状態では、注文が重複したり、単価が高くなったりするなど、余計なコストがかかるリスクがあるため、効率的な在庫管理が必要です。

 

<方法②>ITツールの導入

ITツールを導入して、従業員の業務効率化を図ることもコスト削減に効果的です。

例えば、見積書の作成・請求書などのデータ入力・在庫管理・給与明細作成など、これまで人の手で行ってきた定型業務を自動化することで、従業員が本来行わなければならない業務に集中できます。その結果、従業員の残業時間が減ると同時に、企業が支払う残業代も削減できるでしょう。

なお、ITツールを導入する場合は自社の業務に適したTIツールを選定したり、従業員への周知を行ったりする必要があるだけでなく、ツールの開発にも関わらなければならないケースもあります。長期的な視点でコスト削減できるか否かを見極めて導入を検討しましょう。

 

<方法③>ペーパーレス化の推進

ペーパーレス化を推進することで紙そのものにかかる費用だけでなく、関連する備品にかかる費用を削減できます。

紙の資料一つとっても、印刷費用や資料を整理するバインダー・保管する場所代・処分費用などさまざまなコストが想定され、加えて資料の共有に時間を要するなどの業務効率化への障害になる可能性があります。

しかし、資料をデジタルデータで閲覧するようにすれば、資料作成や保管にかかる費用を削減できるだけでなく、素早く共有できることで業務の効率化を図ることが可能です。

 

<方法④>オンライン会議の実施

オンライン会議を実施することにより交通費の削減が可能です。例えば、営業活動で企業を訪問する場合は交通費やガソリン代が必要経費となり、仮に成約を得られなかった場合は、交通費は無駄になってしまいます。

しかし、オンライン会議ツールなどを活用して営業活動をすれば交通費が発生せず、移動に費やしていた時間を営業活動に割り当てられることで売上向上にも繋がります。

また、短時間の会議のために出張するケースが多々ある場合は、オンライン会議ツールを使用することで交通費や宿泊費などのコスト削減に効果が期待できます。

 

<方法⑤>マニュアルの共有

新人を採用する度に同じ内容の指導を繰り返してしまうと、研修時間を要するだけでなく、その分人件費も発生させてしまいます。

また、同じような質問を繰り返し受けることは、先輩社員にとってはストレスにつながる大きな要因です。

しかし、業務の進め方などをマニュアル化して新入社員に共有することで、問題を自己解決して業務を遂行することが可能となります。マニュアルを作成するための時間や人件費咲くことができれば、長期的な教育コストの削減に繋がるでしょう。

 

コスト削減の実施フローは?

自社において削減すべきコストが明白でなければ、適切なコスト削減方法を講じることは困難と言えます。例えば、適切な人件費をかけているにも関わらず、無理に人件費を削減することは、従業員のモチベーション低下につながるため適切とは言えません。

そのため、コスト削減を実施する際は適切な手順を踏んで行う必要があります。ここからは具体的な進め方を解説します。

 

“ムダ”を洗い出す

はじめに、コストを削減すべき対象を洗い出すことです。そのためには、現状何にいくら経費がかかっているのかをデータ化して、グラフなどを用いて可視化しましょう。可視化することで、必要以上にコストがかかっている項目が明白になります。

不要なコストを削減したり、異なる手段を用いて削減したりといった、あらゆるケースのシミュレーションが可能となり、その結果コスト削減を実施する際の優先順位や最適なコスト削減方法を検討できるでしょう。

 

コスト削減目標を決める

漠然とコスト削減を実施すると従業員のモチベーションを維持できず、結果が伴わない可能性があることから、目標設定はコスト削減において最も重要なポイントと言えます。

したがって、社員一同コスト削減に取り組むためには明確なゴールを定めましょう。それでは、具体的な目標を設定する際のアプローチ方法を2つ紹介します。

1つ目は、自社内で経費の比較をして水準を決める方法です。このアプローチの特徴は、部署ごとに同じ項目の経費を比較して、一定の水準に揃えられることです。

例えば、多大な交通費をかける部署は、ほかの部署の水準まで下げられるようにコスト削減をする必要性が明確になります。

2つ目は、自社と同じ規模の他社におけるコストを参考にする方法です。他社と比較することで、自社のコストの水準を判断する基準として活用できます。

他社のほうが低い場合は、その水準までコストを抑える工夫も施せます。上記を踏まえて、具体的な削減金額や達成時期を目標として設定してください。

 

コスト削減方法を決める

目標が決まったら、目標達成に向けたプランを決めます。コスト削減のフロー1で把握した優先順位に沿って、具体的な行動プランを検討します。

例えば、備品の調達に最も経費がかかっており、優先的に関連コストを削減したい場合を考えてみましょう。具体的なプランとしては、備品を調達する管理者を置く、ルールを設ける、資料をデジタル化するなどの工夫を講じられるはずです。

一方で、光熱費に問題がある場合、契約内容を見直す、照明を変更する、人がいない部屋の電気は消すといったルールを設ける施策が有効です。コスト削減方法が思いつかない場合は、従業員にアイデアを求める方法もあります。

施策が決まれば、企業努力が必要なのか、従業員の協力が必要なのかという点も浮き彫りになるでしょう。このとき、従業員に大きな負担がかかる場合は、モチベーションの低下に繋がる可能性があるため慎重な判断が必要です。

 

コスト削減の実行

具体的なプランが決まったら計画に従って実行します。実行する際はコスト削減に関わる全員に、「コスト削減を目指すこと」「理由」「プラン」「目標」などの情報を共有しましょう。

また、漠然と施策に取り組むのではなく、各コスト削減方法の効果を適宜評価します。施策を評価した結果、効果が薄いようであればプランの見直しが必要です。

そして、数字は良くても社員の業務が増加する場合も施策を再検討すべきでしょう。コスト削減を進める際は、従業員に適宜進捗を報告を行い、社内のモチベーションを維持できるように工夫しましょう。

 

コスト削減は代行サービスに依頼する方法も?

ここまで、コスト削減を実現するためのプロセスを解説してきました。順調に進められる企業もあれば、プロセスの途中で問題が生じる企業やコスト削減方法を考える時間がない企業もあるでしょう。

このような場合は、代行サービスやコンサルタントなどに依頼する方法がおすすめです。代行サービスなどを利用すれば、経費の分析・目標設定・施策の検討などをプロに実施してもらえます。

そのため、通常業務に支障をきたすことなく、コスト削減に向けた施策が実行できます。また、代行サービスによっては成功報酬型の料金体系も採用されており、コスト削減の度合いに応じて費用の支払いが可能な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

 

まとめ

本記事では企業におけるコスト削減方法に関する基礎的な知識、具体的な削減方法、注意点などを解説しました。

企業でコスト削減を検討するには、従業員を含めた多くの方の協力が必要です。具体的な流れ・注意点・ゴールなどの計画がなかったり、情報共有されていなかったりすれば、コスト削減の実現はできません。

そのため、コスト削減の責任者を中心に、十分な計画を立ててから実行に移しましょう。コスト削減を成功させて、企業の利益率を上げましょう。