コスト削減にはITツールの活用が不可欠!勘や経験ではなく、数値に基づいて取り組もう

コスト削減にはITツールの活用が不可欠!勘や経験ではなく、数値に基づいて取り組もう

ここ数年、感染症の世界的流行や、紛争・戦争などにより、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化しています。

「旅行の自粛による需要減」「エネルギー資源の高騰」などで経済が混乱する中でも、経営を安定的に継続していくためにはコストを削減し、手元のキャッシュを充分に確保しておかなければなりません。

なお、コスト削減は、勘や経験に頼るのではなく、ITツールを活用し、数値に基づいて取り組むべきです。

本記事では、企業の経営者やコスト削減担当者に向けて、コスト削減のメリットや取り組み方について解説し、ITツールの活用方法をご紹介します。

「コスト」とは?

コストとは、商品を製造するためにかかる費用(原価)や企業活動に必要な費用(経費)のことです。「材料費」「輸送費」「人件費」「採用・教育費」「賃料・設備費」「広告宣伝費・販売促進費」などさまざまな種類があり、業種・業態によって発生する種類が異なります。

企業がビジネスを営む上でコストがかかることは避けられません。しかし、コストを圧縮できれば、同じ売上でも利益が大きくなります(利益=売上-経費)。定期的に経費の中身を精査し、削減可能なコストがあるかどうかをチェックしましょう。

コスト削減のメリット 

コスト削減のメリットとしては「企業の価値が高まる」「業務を効率化できる」「外部環境の変化に対応しやすくなる」の3つが挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明します。

企業の価値が高まる

コストを削減することによって、余剰資金を確保できます。その結果、新しい技術の開発や投資を行えるようになり、企業の価値が高まります。

余剰資金が手元になければ、優秀な人材の確保や、新規プロジェクトの立ち上げ、研究施設の建設などの投資を充分に行えません。

業務を効率化できる

圧縮可能な「無駄な経費」を探していく中で「従来のやり方を変えるべきだ」という機運が高まります。その結果、業務プロセスの効率化が行われることも、コスト削減のメリットといえるでしょう。

コストを削減すれば、金銭面で余裕ができることに加えて、非効率な業務が改善されて生産性も向上します。

外部環境の変化に対応しやすくなる

企業の経営状態が悪化するのは、企業内部の問題に起因するケースもあれば、外部要因に起因するケースもあります。どんなに内部で努力を積み重ねていても、外部要因で経営状態が左右される可能性があることを認識しておきましょう。

近年「新型コロナウイルス感染症が世界中で大流行する」「ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギー資源(原油、天然ガスなど)の価格が急騰する」など、後世の世界史の教科書に載るような出来事が立て続けに発生しています。

今後も、予期せぬ「外部環境の激変」によって世界経済が混乱する可能性があります。場合によっては、経営を継続できない状態に追い込まれるかもしれません。しかし、手元に潤沢な資金があれば、ビジネスを取り巻く環境が激変しても、それに耐えられる企業体力が確保されます。

日本は地震国であり、今後、大規模な地震が発生することも予想されていますが、コスト削減によって手元のキャッシュが増えれば、有事でも事業活動の継続が容易になるでしょう。

コスト削減の取り組み方

ここからは、コスト削減の取り組み方について説明していきます。

削減可能なコストを抽出する

まず、オフィス全体および、業務のプロセスごとに発生している経費を可視化してください。無駄なコストを特定し、削減するためには「どこに、どれくらいの費用が発生しているか」を正確に把握する必要があります。

なお、勘や経験に基づいてコスト削減を行うのはやめましょう。目につきやすい一部の業務だけをターゲットにして無駄を探すことになりかねません。

見えにくい部分に、より大きな無駄が隠れているケースがあります。社内の業務を全て洗い出し、数値に基づいて削減すべき項目を客観的に探し、適切なKPI(「電気料金を5,000円削減する」「ガス料金を2,000円削減する」など)を設定してください。

そして、PDCAサイクルを回し、実施したコスト削減策の効果を検証することも忘れてはなりません。問題点がある場合は、目標や削減方法を変えてから再度実施して効果を検証し、改善を重ねていきましょう。

必要不可欠なコストは削減しない

「コストを削る」ということだけにとらわれ「必要不可欠な経費」「減らすべきではない費用」まで削減してしまうことがないようにご注意ください。

例えば、商業施設(レストラン、デパート、ショッピングセンターなど)において照明を暗くし過ぎたり冷暖房の稼働を少なくし過ぎたりすると、快適さが失われ、客離れによる売上低下を招きかねません。

またオフィスの場合、真夏にクーラーの稼働を停止すると、業務効率が下がったり、社員が熱中症になったりする可能性があります。環境省は「28℃」を目安にして室温を調整することを推奨しています。適切な冷房の稼働は、必要なコストと認識しましょう。

そのほか、福利厚生(家賃補助、社内食堂など)の削減を行うと、社員のモチベーションが低下し、結果的に業績悪化を招く可能性があるので注意が必要です。人手不足が深刻化する状況を考えると、離職率を低下させるためにも、ある程度の福利厚生は残しておくことをおすすめします。

ITツールを活用して、効率的にコスト削減を遂行しよう 

近年、官民挙げて「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」が叫ばれています。ニュースやセミナー、会議などで「DX」という単語を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

DXとは、企業が保管しているデータやIT技術を活用することで、業務プロセスや企業文化・風土を変革すること。コスト削減につながるほか、データをビジネス戦略に活かすことで、競走上の優位性を確立する手助けにもなります。

以下、ITツールを活用してDXを推進しながら、効率的にコスト削減を遂行する方法を説明していきます。

ITツールによって業務の進め方を変える

変動費(原材料費、運送費など)や固定費(人件費、家賃など)の見直しと共に、ITツールを導入して「業務の進め方」や「働き方」を変えることもコスト削減につながることを認識しましょう。

例えば、業務連絡・情報共有用のグループウェアやチャットツールを導入してペーパーレス化を実現すれば、紙やペン、インク代などを節約できます。また、クラウド上にドキュメント類を保管しておけば、紙の資料や書類の紛失を防止でき、保管しておくスペースを小さくすることも可能です。

ところで、新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークを導入する企業が増加しましたが、テレワークやビデオ会議システムを導入してオンラインでの会議やミーティング、商談を実施すれば、オフィスに出勤する社員が減り、交通費やオフィスの水道光熱費を削減できます。

社員の満足度向上に寄与するので、感染症対策だけではなく、コスト削減策としてもテレワークを推進しましょう。

エネルギーマネジメントシステムの導入も検討する

エネルギー(電気やガスなど)は、基本的に毎日使用するものです。そのため、1年間を通して見ると、コストの中で大きな割合を占めることになります。エネルギーコストを削減する際には、使用状況の可視化・最適化に役立つ「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」の導入を検討しましょう。

エネルギーマネジメントシステムとは、IT技術によって、オフィスや工場などのエネルギー(電気やガスなど)の使用状況をリアルタイムに把握し、一元的に管理するシステムです。過去の使用量や気象情報に基づいて需要予測が行われ、ピークシフトなどの制御によって利用料金の低減が実現されます。

一般的に工場では「電気エネルギー」「熱エネルギー」といった複数のエネルギーが利用されていますが、エネルギーマネジメントシステムを導入すれば、タービン、ボイラーなどの運転パターンや、電力の使用状況が最適化され、最小のコストで工場を動かすことが可能になります。

なお、令和3年から12年までの間は「エネマネ事業者」を通じてエネルギーマネジメントシステムを導入すれば、資源エネルギー庁による「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の交付を受けられる場合があります。

詳細については、一般社団法人環境共創イニシアチブの公式サイトに掲載されている「エネマネ事業者」にお問い合わせください。

ツールを導入し、数値に基づいてコスト削減を実行するべき

経験や勘に基づいて経費圧縮を行っていると、目につきやすい部分だけコスト削減の対象とされるケースがあります。無駄なコストがあっても、気が付かないまま放置されてしまうのを避けるために、社内の業務を全て洗い出し、客観的にコスト削減の対象を探してください。

なお、単に「コストを削減する」というだけではなく「DX推進」という意味でも、ITツールの導入は不可欠です。「業務の進め方」や「働き方」を変えることもコスト削減につながることを認識しておきましょう。

また、電気やガスなどの料金の圧縮については、エネルギーマネジメントシステムのようなITツールを導入して可視化し、数値に基づいて取り組むべきです。

そのほか「IT導入補助金」や省エネ関連の各種補助金(先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金など)を活用して、負担を軽減することもご検討ください。

本記事の内容が、ITツールを活用したコスト削減方法について知りたい企業のお役に立つことができれば幸いです。