製造業が実践すべきコスト削減とは?具体的方法からポイントまで解説!

製造業が実践すべきコスト削減とは?具体的方法からポイントまで解説!

製造業におけるコスト削減を進めるには、削減しやすい項目を適切に判断することが大事です。しかし、日本国内における多くの製造業ではコスト削減を効率的に行えておらず、諸外国と比較して生産性が伸びていないというデータがあります。この記事では、製造業におけるコスト削減を行う方法、効率的に支出額を削減するポイントを具体的に解説します。

 

製造業におけるコスト削減

国内における製造業は、設備投資を含むコスト削減に取り組む企業が多いです。一方で、内閣府が2014年に実施した年次経済財政報告によると、日本は生産設備に対するROA(総資産利益率)がアメリカやドイツと比較して低いとされています。ちなみに、ROAは事業設備や資産などの活用効率を表す指標です。

製造業においてROAが低い企業は、設備投資に見合った利益を上げられていないということを表します。製造業においてROAが低下する原因は、生産設備の稼働効率が低い、修理やメンテナンスにかかるコストが高いといった要因がほとんどです。設備投資を削減したことで生産設備の更新が進みづらくなり、新しい設備の導入が遅れてROA低下を招きます。

そして、国内の製造業ではアメリカおよびドイツと比較して、生産設備の老朽化が進んでいるというデータもあるようです。継続的な資金不足をおもな理由として、十分な設備投資が行えなくなっていることも生産設備の更新が滞る理由のひとつでしょう。

企業のコスト削減を行う過程では、削減するべき費用とそうでない費用を適切に判断して、適切なコスト削減方法を立案・実践していくことが重要になります。

 

製造業が実践すべきコスト削減方法

製造業におけるコスト削減を図る際には、製造設備を稼働させる経費や労務費などからコスト削減に着手することをおすすめします。

経費や労務費の削減につながる方法や、各種施策を行ううえで知っておきたいことを項目別にご紹介します。

 

経費の削減

工場やオフィスの稼働に必要となる照明や空調設備にかかる経費は、契約内容やシステムを見直すことでコスト削減が見込める項目です。製造業は照明や工場設備などを多用する関係上、他の産業と比較して電気代が高くなる傾向があります。

例えば照明のコスト削減を行う際には、白熱電球や蛍光灯などの照明をLEDランプに交換する施策がおすすめです。LEDランプは蛍光灯や白熱電球と比較して消費電力が少なく、新しく導入した場合は電気代を8割ほど削減できる効果が見込めます。

LEDランプの導入には初期費用が掛かりますが、自治体によってはLEDを設置する際に補助金が出る場合もあります。上手く活用すれば、経費を削減しながらコスト効率を向上させられるでしょう。空調設備に関しては、定期的なメンテナンスや稼働効率が高い設備への買替などがおすすめの方法です。故障リスクの低減や継続的なコスト削減が見込めるため、各種経費の削減は早い段階で行うとよいでしょう。

 

水道光熱費の削減

長期的なコスト削減を図りたい場合、水道・電気・ガスの契約見直しも効果的な施策です。電気料金の一括見積もりや法人向け割引プランといったシステムを利用することで、コスト削減を効率的に実施できます。近年では電力や都市ガスなどの自由化が進んでおり、さまざまな選択肢から契約プランを選びやすくなっている状況です。

水道料金の削減に関しては、自家水道システムや下水道料金削減システムを活用する方法があります。しかし、導入するシステムによっては敷地内に井戸や浄化槽などを導入する必要があるので、詳細については専門業者への相談が必要です。水道光熱費の契約見直しを行う際には、各分野のコンサルタントへ相談することで効率的にコスト削減を進められるでしょう。

 

交通費の削減

複数の事業拠点を保有している企業であれば、交通費の高騰は発生しやすい問題です。頻繁に会議や打ち合わせなどを行う企業も、印刷費や飲料代などの会議費用が定期的に発生するといった問題もあります。

交通費の削減を図る方法としては、Web会議システムやグループウェアなどの新規導入が挙げられます。Web会議システムを導入することで、遠隔地にある事業拠点や取引先との会議、商談などを自社内で実施できるようになります。Web会議は移動時間や交通費がかからないため、業務効率の向上が見込めるでしょう。

 

労務費の削減

製造業における労務費は、直接労務費と間接労務費に大きく分けられます。直接労務費は製造に直接関わる従業員の人件費であり、間接労務費はその他全般に関わる従業員の人件費を表す項目です。

より詳細に説明すると、製品の生産に直接関わる作業を行なった際に発生する「直接労務費」、製品の製造に間接的に関わって発生する「間接労務費」などの種類に分かれます。特に間接労務費は手当や福利厚生なども含まれ、計上がやや複雑になりがちです。

しかし、改善を行うためにはまず現状の把握が大切なので、項目の洗い出しとそれぞれの支出をあらかじめまとめておきましょう。

そんな労務費の削減を図る際には、一部業務をアウトソーシングしたり、産業用ロボットを導入したりするなどの施策が広く用いられています。

 

ロボット・システムの導入

労務費削減を目的とする場合、産業用ロボットや生産管理システムなどの導入によって効率的にコスト削減を図りやすくなります。ロボットやシステムの導入を検討する際には、設備の稼働効率や在庫状況などを事前に調査、把握しておくことが大事です。改善を図る項目や目標設定などを明確化することで、自社に適したロボットやシステムを見つけやすくなります。

また、人が実施していた業務を産業用ロボットに一部代行させることで、作業効率や安全性の向上が見込めます。ロボットの導入によって従業員の配置状況に余裕ができた場合、人員が不足している部署や自社の主力事業などに従業員を配置できるようになります。

在庫管理や生産量の調整をスムーズに行いたい場合、生産管理システムを導入してみましょう。情報共有がオンラインで行えるようになり、取引先への対応が早くなるはずです。産業用ロボットや生産管理システムを導入するには初期費用が掛かりますが、設備更新によって生産効率の向上が図れるでしょう。

 

業務のアウトソーシング

アウトソーシングとは、業務を外部委託することで従業員への負担や業務コストの軽減を図る施策です。アウトソーシングでは対象となる業務をすべて外部委託するため、生産設備の調達や業務指示といった作業を省略できるメリットがあります。

しかし、業務量に対して従業員が余分に配置されている部署があると、労務費の増大や従業員の稼働効率低下といった問題が生じるリスクが高いです。対応策として、業務の一部をアウトソーシングで行うようにすることで、閑散期における労務費を抑えられるようになります。自社従業員を生産性が高い業務や主力事業などに集中させやすくなるので、労務費削減と収益力向上を並行して行えることもメリットです。

アウトソーシングを活用する際には、どういった業務を委託するか、どの企業へ委託するかを自社内で決定しておく必要があります。製造作業をアウトソーシングする場合、作業手順書やマニュアルなどが必要になる点も把握しておきたいポイントです。

アウトソーシングを実施する際には、社内情報をアウトソーシング企業へ提供するリスクを十分に理解し、情報流出のリスクを極力抑えたり、情報管理が行き届いたりしている企業を委託先として選びましょう。

 

材料費の削減

製造作業で用いる工具や消耗品にかかるコストは、調達価格や仕入れ先の見直し、適切な在庫管理などを行うことでコスト削減を行えます。調達価格の見直しや余剰在庫の削減を適切に実施することは、長期的なコスト削減を目指す上で有効な施策です。

 

調達価格の見直し

工具や消耗品などの調達価格を見直す際には、仕入れ先の変更や調達価格に関する交渉を行うと、効率的にコスト削減が図れます。調達価格に関する交渉を行う際には、複数社から相見積もりを取っておきましょう。

なお、相見積もりを取る際には、仕入れ先に提示する価格・期限・数量といった条件を自社内で決めてから仕入れ先を探すことが大事です。最初に具体的な取引条件を決めておくことで、自社の状況に適した仕入れ先を見つけられる見込みが大きくなります。

また、相見積もりによって複数社から提示された取引条件を比較することで、適切な価格を判断しやすくなるというメリットもあります。

なお、実際に相見積もりを行う際には、他の企業にも見積もり依頼を出していることを価格交渉の際に伝えることも一つの方法です。企業側が機会損失を嫌い、値下げ交渉のきっかけになるかもしれません。

 

在庫数の見直し

在庫管理や製造数の調整などが効率的に行えていない場合は、生産管理システムの導入がおすすめです。生産管理システムは自社の生産能力や取引状況、納期といったデータをもとに生産計画を作成するもので、導入によって余剰在庫を削減できます。

また、余剰在庫の削減を図ることで、業務効率の向上や生産コスト削減の効果も見込めます。生産管理システムの多くは在庫情報や納期などを管理できる機能が搭載されていて、適切に運用すれば在庫見直しを効率的に行えるでしょう。

近年は製造業向けの生産管理システムを開発・提供する企業が増えつつある状況です。製造業向けの生産管理を行う際には、クラウドネットワークを活用した月額料金制の生産管理システムを導入してみましょう。初期費用を安く抑えられるほか、月額制にすることで予算管理が行いやすくなるはずです。

 

製造業のコスト削減ポイント

製造業におけるコスト削減を進める過程では、自社の支出状況に合わせて削減する項目、費用を適切に判断することが重要です。

コスト削減を図るうえで知っておきたいこと、効率的にコスト削減を行うポイントをご紹介します。

 

業務品質は維持する

コスト削減を実施する際、品質や生産効率などを維持できる範囲で実施することが大事です。例えば人件費削減を行う過程で、給与の見直しや人員整理などを進めた場合、生産効率や従業員のモチベーション低下、最終的には離職などの影響が生じる場合もあります。その結果、自社内の知見が新しい従業員へ引き継がれなくなるリスクも高まるでしょう。

こうした引き継ぎ不足による業務品質の低下を防ぐには、属人化している技術や知識を社内で共有することが大切です。ベテラン従業員の作業手順を社内で共有し、マニュアル化することで業務品質を一定に保てます。期間雇用社員や派遣社員を活用することで労務費の節約、調整を行いやすくなるメリットもあるため、共有化が進んでいない企業はぜひ試してみましょう。

 

現在のコストを把握する

効率的にコスト削減を進めるには、現在かかっているコストを適切に分析・把握しておくことが大切です。製造業は固定費の割合が高い傾向にあるので、コスト削減を実施する際には労務費や経費といった固定費の調査、見直しを定期的に実践することが必要になります。

支出状況を定期的に確認することで、削減できる項目や目標値などをデータとして把握しやすくなるでしょう。月々の経費や水道光熱費、労務費などの推移を数値化すれば、自社内におけるコスト削減状況を視覚的に確認できるようになります。着手すべき項目の優先順位もつけられるようになり、よりクリティカルな改善が叶うでしょう。

 

職場環境の整備

労務費の最適化を行う過程では、職場環境を整えることが大事です。道具の置き場所が決まっていない、メンテナンスされていない職場は、道具の紛失や破損といったトラブルを起こすリスクが高くなります。

職場環境の改善を行う際には、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」など、いわゆる「5S」の実践がおすすめです。製造業における5Sの実施例としては、道具の種類に応じて置き場所を決める、作業現場を清潔な状態に維持するといった施策が挙げられます。

また、作業現場の整理整頓や清掃といった目標を決めるだけではなく、自社内に5S活動の周知徹底してみましょう。職場環境の整備・維持を適切に行うことで、安全かつ効率的に作業が行いやすい職場を構築できます。

 

まとめ

製造業のコスト削減に取り組む際には、水道光熱費や交通費といった固定費を優先的に削減することがポイントです。生産設備の更新や公共料金のプラン見直しなどを適切に行えば、継続的なコスト削減効果が得られます。生産性への影響が生じない範囲、項目を事前に把握し、効率的なコスト削減を行いましょう。