間接費を削減する必要性とは?実施方法や確認すべきポイントまで解説!

間接費を削減する必要性とは?実施方法や確認すべきポイントまで解説!

電力費や通信費といった間接費は、売上に直接影響を与える直接費よりも対策が後回しにされがちです。その理由の一つに、収益改善効果の少なさが挙げられます。

しかし、適切な方法で間接費削減プロジェクトを実行すれば大きな収益改善に結びつけることも難しくありません。

最近ではコロナ禍の影響もあり、コスト削減に着手し始めた会社も少なくありませんが、何から手をつけるべきか、分からない方もいるでしょう。特にコピー機の利用費や雑品の購入費用などの間接費に、まだ削減余地のある会社は多いはずです。

この記事では、売上から得られる利益を最大化する間接費削減の必要性と実施方法、重要なポイントについて詳しくご紹介します。

 

間接費とは?

製品やサービスの売上に直接影響を与えないコストを間接費と言います。売上に直接関係する費用以外に、使用される消耗品や各種サービスにかかる費用が間接費に該当します。

製品やサービスの製造に使用する設備費の減価償却費をはじめ、電力量・上下水道料金・通信費・賃貸費・警備費・賃貸料・事務費など、直接売上に関わる訳ではないさまざまな費用が間接費として発生します。

これのら間接費は売上向上に影響を与える費用ではありませんが、企業・組織が利益を獲得するためには必要な費用ばかりです。しかし、上記のように間接費に分類される費目は多岐にわたり、コスト管理が複雑化してしまう傾向にあります。

 

直接費との違い

間接費とは異なり、製品やサービスの製造に必要な材料費や人件費など、製造原価に直接関わる費用が直接費です。直接費は主に材料費・人件費・経費の3つに大別されます。

直接費の改善は、材料費の見直しやアウトソーシングによって、多くの企業で最適化が進んでいます。一方で、間接費の削減効果に関しては事後的に計算されてしまう傾向があるでしょう。

その理由の一つに、直接費削減の方が間接費と比較した際に収益改善に与える影響が大きいことが挙げられます。直接費は材料仕入れ先や外部委託先を安価にすることで大きな収益改善を見込めます。

間接費の削減は一つひとつが小さな削減効果しかなく、収益改善への影響が見えづらいという特徴があります。とはいえ、間接費の削減は一つひとつが少額なため、実施するメリットが薄いかと言えばそうではありません。

適切な方法による間接費の削減では、使用しているサービスの品質や使用量を変えずに、得られる効果を最大化することが可能です。

 

間接費削減の必要性

直接費の削減は収益改善に結びつきやすいため、コスト削減が集中的に行われやすいポイントです。しかし、コスト削減によって品質・業務レベルと単価のバランスが悪くなってしまうデメリットもあります。

そこで、売上に直接的な影響を及ぼさない間接費の削減が収益改善の手段として活用されています。ここからは間接費削減の必要性について詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

売上に与える影響が大きい

間接費の削減効果は直接的な売上に影響は与えませんが、間接費の抑制効果で結果的に売上に貢献します。

売上にかかる直接費を削減すれば大幅なコスト削減効果が期待できます。直接費は主に人件費・材料費・経費の3つです。科目の少なさからコスト管理が行いやすく、削減効果も目に見えて大きい特徴があります。

しかし、製品やサービスを製造する根幹を成す材料費・人件費の削減によって、品質低下による販売・取引数の減少といった悪影響を売上に与える可能性があります。一方で間接費の削減は売上に直接影響を与える費用ではないため、製品やサービスの品質低下や販売数低下といった悪影響の心配はありません。

例えば、売上が1億円の会社にかかる経費が4,000万円の場合、営業利益は6,000万円・利益率は60%になります。

【計算式】
1億円- 4,000万円=6,000万円
6,000万円÷1億=60%
この会社が経費を10%削減すると、営業利益は64%になります。

【10%削減後の計算式】
4,000万円 – 400万円=3,600万円
1億円- 3,600万円=6,400万円
6,400万円÷1億=64%

 

削減の難易度が高くない

間接費は直接費と比較すると、該当する費目が非常に多いことが特徴です。そのため、事業規模によっては事務機器や電力などの仕入れ先や供給元と複数契約を結ぶ場合もあり、交渉が煩雑になる場合もあります。そのため、費用削減のハードルが高いとされがちです。

しかし、コストと使用量を見直すことで収益改善につながることを考えれば、やっておきたい施策でしょう。

間接費の削減は、仕入れ先や供給元などと交渉を行って価格の適正化を行う「サプライヤーマネジメント」と、従業員単位でリソースの消費を見直す「ユーザーマネジメント」の2つです。

サプライヤーマネジメントを実施する際には、専門のコスト削減コンサルタントと相談の上で実施する方法が成功率が高い傾向にあります。

現場レベルで節約を行うユーザーマネジメントも見過ごすことができないコスト削減の方法ではありますが、さまざまな間接費を単価から見直すサプライヤーマネジメントの方が成功率は高い傾向にあります。

 

削減のインパクトが大きい

「間接費の削減は各項目の削減額が少額」「削減効果を出すまでには時間がかかる」といったイメージを持たれがちです。ところが、間接費の削減額は売上額の20%に達することもあるほど、削減による影響は大きいとされています。

詳しくは後ほど解説しますが、間接費削減プロジェクトは検証と改善のサイクルを繰り返していくことで、より良い成果を達成することが可能です。

ICTツールの導入によって業務効率化と生産性を向上させた結果、さらに削減可能な間接費を特定するといったサイクルへとつなげることができます。これにより、費目あたりは小さな削減効果でも、結果的には大きな収益改善を実現することが可能です。

 

間接費の削減方法

ここからは、間接費削減を具体的に推進するための方法についてご紹介します。

 

間接費を可視化する

間接費に分類される費目のうち、電力や通信費は単価と使用量の数値化が容易な部類です。一方で消耗品や間接材の発注業務にかかる工数など、数値化して表すことが難しい間接費も存在します。

こうした数値化が難しい費目のコスト管理を意識しないまま、消耗品や間接材の一括購入などのコスト削減施策を実施してしまうと、かえって工数が増えてしまい、余計なコスト負担が増えてしまうかもしれません。

そこで「活動基準原価計算」という方法を用いて、さまざまな間接費を可視化することが重要です。この手法は主に製造原価計算に用いられてきましたが、間接費の可視化に有効的であるため経営に取り入れられています。

活動基準原価計算では製品やサービスの製造・販売に必要な間接費を業務単位で分割、それぞれに設けた基準から原価計算が行われます。これにより、どの業務にどれだけのコストが発生しているのか可視化され、その後の削減プロセスに大きな効果を生みます。

 

目標を明確にする

間接費を削減していくためには、目標を明確にする必要があります。間接費の削減プロジェクトは約2~3年の時間を要するため、トータルでどれくらいの費用を削減するかを目標として、明確に設定することがプロジェクトの成功率を高めます。

間接費削減を行う理由を明確に設定し、各業務に従事する従業員に、経営層から伝達することが重要です。目標と目的の説明をきっちりと行い実施、間接費削減プロジェクトが企業や組織の利益向上と業務効率化に貢献することを明らかにすることで全社的に理解を得ることができるでしょう。

 

削減方法を検討する

金融庁(企業会計審議会)の原価計算基準によれば、間接費の分類は以下の3つに分けられます。

 

  • 間接材料費(補助材料費・工場消耗品・消耗工具費など)
  • 間接労務費(間接作業工賃など)
  • 間接経費(電力費・通信費・設備費・交通費など)

 

これらの間接費はそれぞれ性質が異なるため、それぞれ適切な削減方法を検討する必要があります。中でも電力費や通信費にあたる間接経費はさまざまな条件にある場合が多く、それぞれの費用を正確に算出して、管理を行うことは困難です。

しかし、間接経費の削減は各サプライヤーとの取引単価の交渉によって大きな削減効果が見込めます。電力やガスを単価の安い供給元へと変更したり、電話回線を月額費用が安価な光IP電話へ切り替えたりといった方法で費用をスリム化することが可能になるのです。

 

間接費削減の実行

間接費削減の実行におけるポイントは、間接費を上記の「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」に大別して削減プロジェクトを実行することです。

間接材料費は一括仕入れによる単価交渉や、必要以上に在庫抱えない管理体制の構築が肝になります。

間接労務費は人員削減よりも、ICTツールの導入・活用することによって人的リソースの最適化による生産性の向上と業務効率化を推し進めることが重要です。

間接経費は電力・水道といったサプライヤーとの単価交渉が有効的です。また、LED電球への入れ替えなど、間接経費がかかるサービスの費用対効果を上げていくのも有効な方法でしょう。

 

効果検証

間接費削減プロジェクトを実施する場合、単に施策実施で目的達成とするのではなく、効果検証によってさらなるコスト削減へとつなげていく必要があります。

そのため、目標達成までのプロセスを定量的に検証し、効果検証のフェーズを挟むことが重要です。目標設定や分析体制を整えることで、より効果的な評価と見直しを行うことができるでしょう。

きちんとした分析を行うためには、可視化されたデータを基にした具体的な施策の実行と効果検証による根拠ある定量的な指標が必須です。

ここでKPI(重要業績評価指標)を設定し、実際の数値と比較を行い、効果検証の根拠を基にした具体的なコスト削減プロセスの改善が可能になります。

 

間接費の削減ポイント

さまざまな費目が対象となる間接費削減をスムーズに推し進めるためには、意識しておかなければならないポイントがあります。

 

費目別にコスト管理を行う

具体な数値にもとづく実行が目標達成への近道です。企業や組織内の間接費を部門別、費目別、そして業務別などに細分化してコスト管理を行うことで、削減効果がある科目の特定が容易になります。

発生している間接費の種類や各種供給元などへの支出を把握・管理し、削減余地を明確にしてみましょう。

そして、実際に間接費削減を実施するにあたっては、「費目別」に削減効果を検証する方法が現実的です。例えば通信費には電話回線・光回線・インターネット回線・サーバ管理費などが含まれます。

こうした費目をまとめて管理している場合、間接費の無駄を特定する作業は困難です。そこで費目ごとに分けて集計を行うことで、削減効果がある費目を特定することが可能になります。

 

サービスとコストのバランスに注目する

削減の対象となる間接費を特定するためには、業務に必要な機能やサービスとそれにかかる間接費のバランスが最適化された状態で運用しているかどうか確認してみましょう。

余計な間接費がかかっている費目の単価や使用量を見直し、サービスとコストのバランスを是正します。業務プロセスと費目を精査することで、アンバランスになっている費目や、コストをより集中させるべき費目が発見されるはずです。

余計な間接費が発生している費目は削減を実施し、効果が高い間接費にはコストを集中させることで、削減と高い費用対効果の実現につなげていくことが可能になります。

 

ゼロベースでの業務見直しを検討する場合もある

間接費の削減は売上や業務体系に与える影響が少ないという特徴がありますが、時にはそれらに大きく影響を及ぼすような抜本的な業務改革が必要になる場合もあります。

間接費削減の実行によって細かな無駄なコストを抑えた結果として、業務プロセスそのものの見直しが必要になる場合もあるでしょう。

例えば、ICTツールの導入によって人員の再配置が起こり、業務体系を再編することでさらなる業務効率向上が期待できる、といったケースもあるでしょう。

 

まとめ

削減の効果が認められにくいために後回しにされてきた間接費の削減ですが、最適な方法で削減プロジェクトを実行することで、収益改善に大きな効果をもたらします。

改善の初期段階では効果が薄かったり、ICTツールの導入で余計な費用が発生したりすることもあるはずです。

しかし、効果検証と改善を繰り返していくことで、着実に収益増加につながります。コスト削減や収益改善を実施する際には、間接費の見直しもぜひ検討してみてください。