ペーパーレスでコスト削減!ペーパーレス化で各種費用を削減した事例

ペーパーレスでコスト削減!ペーパーレス化で各種費用を削減した事例

書類や帳票など紙媒体の印刷物をデジタルデータに置き換えて業務に活用する「ペーパーレス化」が現在注目を集めています。この取り組みは、従来のコスト削減・エコロジーとは異なり、業務体系の抜本的改革や方針決定の高速化などあらゆるベネフィットをもたらします。企業にとって、日々激化する競争に生き延び成長するためには、ペーパーレス化の浸透は必要不可欠と言えるでしょう。

今回はペーパーレス化のメリットや導入対象となる書類、コスト削減の事例、コスト削減のポイントについてご紹介します。コスト削減や業務効率化にお悩みがある方は、ぜひご覧ください。

費用削減だけではない!ペーパーレス化のメリットとは?

ペーパーレス化によって得られるメリットは費用削減だけではありません。活用方法によっては、働き方改革に大きく貢献してくれたり、経営上の事故・不祥事・犯罪などを防止するガバナンスの強化に寄与してくれたりするでしょう。ここでは、代表的な5つのメリットをご紹介します。

印刷代の削減

2020年時点で、年間の印刷・情報用紙消費量は639万トンにまで達しました。これほどの紙を消費するとなると膨大な印刷代が発生することになるでしょう。しかし、紙媒体の書類を電子化すれば膨大な費用の節約に繋がります。

月3,000枚の文書を印刷した場合、モノクロレーザープリンターで年133,200円、インクジェットプリンターでは年504,000円もの印刷代がかかるという試算も発表されています。印刷代の削減はペーパーレス化で比較的可視化しやすいメリットと言えるでしょう。

書類保管スペースの削減

紙媒体で文書を作成した場合、後日の利用や参照のために保管スペースが必要となります。また、法律で10年や30年、文書の種類によっては永続的な保管を定められているものも存在します。紙媒体で文書を保管する場合は社内に書類保管スペースを設けなくてはなりません。年々そのスペースを拡大しなければならない点も課題です。

そこで文書を電子化すれば、保管スペースを削減でき、そのスペースを有効活用できるでしょう。従来の書類の量によっては、今よりコンパクトなオフィスに移転できるかもしれません。なお、書類の電子化はe-文書法または電子帳簿保存法によって、電子化可能な書類が規定されています。電子化を検討する際には、必ず条文等を確認しましょう。

業務効率の改善

文書を電子化してパソコンで閲覧・検索することで資料を探す時間が短縮でき、浮いた時間をより生産性の高いコア業務へ充当することが可能となります。パソコンで必要文書を共有できるようになれば、会議やプレゼンなどに必要な資料作成後の印刷・製本・配布などの作業も不要となるでしょう。

文書を支社や営業所などに送付する際、紙媒体の場合は輸送に費用と時間が発生します。海外に発送する場合はさらに費用と時間がかかるでしょう。しかし、電子化した文書であればメール添付で迅速かつ安価な送付が可能となり、遠隔地との業務連携もよりスムーズになります。自動翻訳やスペルチェックといったソフトを導入することで手軽に翻訳でき、業務効率化と業務の質の向上が図れます。

働き方改革の実現

ペーパーレス化は2019年4月に施行された働き方改革関連法案が目指す「働き方改革」に合致していることから、労働環境の改善と合理的な経営を実現するための有効な手段です。働き方改革で掲げている目標の1つに「柔軟な働き方がしやすい環境整備」が挙げられます。これは、少子高齢化による労働人口の長期的減少や、労働者の個々の希望に応じた多様な働き方に対応するために設定された目標です。

文書の電子化によって紙の利用や送付が不要となれば、会社内以外の場所での勤務が可能となります。その結果として、ライフスタイルや居住地が要因で働くことが困難だった優秀な人材の採用が実現します。労働者不足の緩和だけでなく、優秀な人材の確保も果たせるでしょう。

ガバナンスの強化

そもそも「ガバナンスの強化」とは、法律に反する行動を起こさないように企業内で仕組みや規則を策定し、管理体制を整備することです。チャットツールなどの情報共有ツールを活用することで電子化した文書の相互チェック・修正が容易となり、不測の事態を事前に把握・防止できます。

また、デジタル技術による自動化によって専門の担当者を常駐させる必要性が低減されるため、恣意的な判断や担当者の方針に基づく事業の不安定性が改善され、業務を標準化できるでしょう。

どんなものをペーパーレス化できるのか?

電子化の対象となる資料はビジネス文書や会議資料、パンフレットなど多岐にわたります。効果的に活用するためにも、電子化するうえでのそれぞれの特徴や注意点を押さえておきましょう。

ビジネス文書

電子化が可能なビジネス文書の例は以下のとおりです。

  • 稟議書類
  • 給与明細
  • 領収書
  • 経費精算書類
  • 請求書
  • 契約書

文書を電子化する際は電子帳簿保存法やe-文書法で定める認可要件にご注意ください。

会議資料

近年はZoomなどWeb会議ツールが数多く登場しています。これらのサービスの登場によって、資料を紙媒体で用意することなく、電子化したものをオンライン上で共有・閲覧して会議を行うことが可能になりました。

社内で使用する会議資料は社外文書と比較して利益に直接的な影響を及ぼさない傾向があります。従って、仮に電子化を失敗した場合でも、会社に損害が及ぶ可能性は最小限に抑えられるでしょう。これらの観点から、電子化の試験的導入例として、社内の会議資料は適していると言えます。

パンフレット・カタログ・チラシ

顧客や取引先を対象としたパンフレット・カタログ・チラシなどの説明・販促資料も、電子化の対象です。記載した情報を訂正する際、紙媒体の場合は新しく作成し直す必要があるでしょう。しかし、電子化した文書であれば該当箇所の更新のみで済み、訂正時に費用や時間、手間などがかかりません。

ペーパーレス化によるコスト削減事例

紙媒体の資料の電子化によって、実際どの程度の効果が得られるかは気になるところです。そこで、まずは事例を参考に電子化した目的や過程、効果を把握しておきましょう。ここでは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、医療法人社団友愛会友愛病院、長野県長野市役所の事例を3つご紹介します。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の事例

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、2006年10月に伊藤忠テクノサイエンス社とCRCソリューションズ社の合併によって誕生した企業です。合併後承認申請業務による混乱とロスを解消するため、2008年2月にワークフローシステムを導入し、ペーパーレス化に着手しました。

システムの活用により、現在は承認申請業務に用いる申請書の大部分を占める約300本のペーパーレス化を達成しました。この取り組みの導入から7ヶ月が経過した時点で、16本の申請書を電子化し、約43,000時間の業務時間と約56,000枚の用紙削減に成功しています。膨大な書類を扱う24人分の従業員の労力が削減されたため、より生産性の高い業務に人員を振り分けるための労働力も確保できました。

友愛病院の事例

友愛病院は東京都足立区に位置し常勤医師や非常勤医師、看護師、ヘルパーなど合計約90名が勤務する病院です。2012年からクラウド型ビジネスチャットツールの導入でペーパーレス化の推進および情報の共有化・可視化を行い、医療業務の効率化を目指しています。

ツールの導入により事前に現状報告内容をチャット内で確認できるようになったため、会議時間が1時間から20分に短縮されました。また、技術指導の内容をあらかじめチャット内に動画でアップしておくことで、指導時間の短縮も実現できたそうです。また、レセプト(医療報酬明細書)がチャットで確認できるようになったため、複数のチェックがスムーズになり記述ミス・見落としの低減にも繋がっています。

長野県長野市の事例

長野市役所はペーパーレス会議の実施および、文書のペーパーレス化の実現を目指しています。会議資料として使用される紙の消費を無くすため、長野市役所は会議中の紙文書の作成・配布を取りやめ、会議参加者各1台のノートパソコンと2台の大型ディスプレイを用いたペーパーレス会議を実施しました。ノートパソコンを庁内LANの一部として組み入れることで庁内LANのシステムやデータ、インターネットの情報を参照しながら質疑応答や補足説明へ対応できるようになったそうです。

ペーパーレス会議の実施により、1年間に実施した78回の会議を通算して14万枚の紙と300万円の印刷費用の節約に成功しました。会議1回あたり平均準備時間も2時間から20~30分程度の時間短縮にも成功しています。また、誤記などの訂正もデータを差し替えるだけで済むようになり、修正に必要な時間と費用も大幅に削減されました。

ペーパーレス化によるコスト削減のポイント

ペーパーレス化によって成果を挙げるには、社内のセキュリティ対策とITリテラシーの向上、ペーパーレス化しやすい環境づくりが重要です。ただし、実施には初期投資と人員投下が必要となるため段階を踏んで開始する、あるいはコスト削減サービスを実施する会社に相談し、ペーパーレス化を代行してもらう必要があるでしょう。

ここでは、ペーパーレス化によるコスト削減のポイントを4つご紹介します。

セキュリティ対策、社内のITリテラシー向上が必要

IT技術の導入によるペーパーレス化の推進は、システムやネットワーク上の障害や不正アクセスによる情報漏洩などのリスクがあります。障害に対しては定期的なバックアップが、不正アクセスにはセキュリティ強化が求められます。

長野市役所ではペーパーレス会議を行う際、職員のICカードがなければ機器の利用ができない仕組みにしていました。また、利用時の操作履歴を全て保管しているため、目的外利用の抑止対策も講じています。このように積極的な対策を講じることで、専用の高価なセキュリティソフトを購入せずとも安全対策を施せるでしょう。

ペーパーレス化には、IT機器に不慣れな従業員へのITリテラシー向上も必要となります。ITリテラシーとは、機器の利用法や電子資料の配置場所に関する運用的な技能だけでなく、外出先のフリーWi-Fiに情報保護措置が施されていない場合が多いなど、機器に関する知識も含まれます。定期的な研修や利用マニュアルの作成・読み合わせなどを実施して、正確な知識を継続的にレクチャーする体制を構築しましょう。

ツールを利用してペーパーレス化しやすい環境をつくる

ペーパーレス化の目的は事業体制の効率化にあるため、紙を利用しないだけでなく、以前と比較して業務を効率化する必要があります。そのような新しい事業体制の構築の過程で、以下のツールの活用を推奨します。

1.電子機器
自社の業務に適した電子機器を選択することで導入効果を最大限発揮できるようになります。客先に商品の説明などを行う営業職には高解像度の電子機器が、工場などで利用する電子機器は汚損に強い種類が適しているでしょう。複数の冊子や膨大な資料をスムーズに利用・運搬することを考慮して、導入を検討してください。

2.文書管理システム
紙の文書をスキャンして電子化し、文書の自動分類や一括管理を可能にする業務システムです。このシステムの導入により、文書の検索速度・精度とセキュリティ向上が可能となります。現場の意見を参照したうえで適切なシステムの選択をしましょう。

3.オンラインストレージ
インターネット上でデータを保管できるシステムをオンラインストレージと呼びます。このシステムにより名刺、書類、資料などを電子化して社外でも確認できるようになります。

4.Web会議システム
Web会議システムを活用することで、会議のペーパーレス化が可能です。会議資料を事前に参加者の電子機器にデータで配布する、大型モニターの画面を同期させる、メモ書きやサインを行えるタブレットを用意するなど、事前準備をしておくことでオンライン上でも支障のない会議ができます。

最初は部分的にペーパーレス化を始める

ペーパーレス化にはネットワーク環境や情報セキュリティ対策の構築コストと、運用のための人員が必要です。とはいえ、一度に多くの業務にペーパーレス化を推進するとシステムのトラブルや業務ミスが発生しやすくなります。コスト削減・収益増大といったメリットや利用度合いを考慮して、優先度の高い分野からペーパーレス化を始めることがポイントです。段階的に進めていくことで、周囲の理解と協力が得やすくなるでしょう。

コスト削減サービスに相談する

ペーパーレス化の目的は業務効率化であるため、IT分野に精通した人材を用意しただけでは十分とは言えません。また、書類が膨大な場合はペーパーレス化に多くの時間と人員を要するでしょう。そのため、企業によってはペーパーレス化をサポートする会社に相談・委託する必要があります。会社を選択する際は、スキャニングサービスの品質や、サービス内容と費用のバランス、代行企業のセキュリティ管理体制などを確認しましょう。

スキャニングサービスの品質は会社が所有するスキャナの種類とスキャン漏れチェックのシステム化具合によって確認できます。代行に必要な料金は1枚あたりの基本料金とオプションによって決定されるため、どの分野をペーパーレス化するか事前に決めたうえで交渉に臨むことが大切です。

セキュリティはプライバシーマークやISMS認証の有無をホームページなどで確認した後、運搬方法に細心の注意を心掛けている会社を選びましょう。書類の紛失時の責任は引き渡しの証明がない限りは引き渡し側の責任となるため、引き渡し時には必ず預かり証などを受け取ってください。

まとめ

業務の効率化と労働形態の多様化は企業存続における大きな課題です。ペーパーレス化はそれらの推進に貢献する要素となり得ます。段階を踏むことで民間企業や公共施設、官公庁問わずペーパーレス化を実施し成果を挙げることが可能です。単独では難しい場合は代行サービスの利用でスムーズな導入・運用が可能です。自社に合う方法でペーパーレス化を推進しましょう。