サプライヤー選定時に見極めるべき6つの項目を解説!

サプライヤー選定時に見極めるべき6つの項目を解説!

購買とは、企業活動に必要なあらゆるものを社外から購入することを指します。製造業を始めとした業界、特にその中でも生産管理・販売管理を行う部門とは、切っても切り離せない仕事です。

そんな購買部の仕事では、これまで「どれだけ安価で材料や部品を調達できるか」という点が追求されてきました。しかし、昨今では単に価格が安いだけでは市場で優位に立つことが難しくなってきています。商品の品質や独自性が優れていなければ、消費者の多様化するニーズに対応できなくなっているのです。さらに、近年ではビジネスのスピードが加速して、変化の振れ幅も大きくなっています。そのため、より幅広い視点を踏まえたサプライヤーの選定が求められるようになっています。

とはいえ、優良なサプライヤーと出会うためには、具体的にどのような点を見極めれば良いのでしょうか。そこでこの記事では優良なサプライヤーと契約する6つのポイントを紹介します。さらに、優良サプライヤーに出会うための具体的な方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

サプライヤーとは

サプライヤーとは、供給元や仕入先、納品業者のことです。

企業においては、製品・サービス・事業などに必要となる部品や機材・原材料・サービスの売り手などを指します。

サプライヤーというと、製造業の部品の下請け企業や原材料の卸売業者などをイメージしやすいと思いますが、実際には製造業以外であっても、あらゆる「モノを売る人」はサプライヤーに当てはまります。

例えば、旅行業では、宿泊施設を供給する航空会社やホテル、交通機関などがサプライヤーです。供給元と供給先が存在する限り、あらゆる企業がサプライヤーとなり得ます。

ちなみに、サプライヤーと混同されやすい言葉に「メーカー」と「ベンダー」というものがあります。メーカーとは、製造を行う製造業者や、開発を行う開発業者のことです。これらの業者は部品や原材料を使って製品を作る企業を指します。材料のみの供給を行う、製品の仲介をするといった企業は、メーカーには当てはまりません。対してベンダーとは、日本では主にIT業界を中心に使われる用語で、システムの導入やソフトウェアの開発設計を行う企業を指します。「Vendor」は売り手を意味するということもあり、サプライヤーとほぼ同じ意味を持ちます。

サプライヤー選定時の見極めポイント6つ

サプライヤーを選定する際には「QCDDCM」に着目してみましょう。

QCDDCMとは、Quality・Cost・Delivery・Development・Management・Capacityの頭文字を取った用語で、内容は以下の通りです。

 

  • Q=Quality 品質:不良率・市場クレーム件数、品質管理体制など
  • C=Cost コスト:コスト、コスト削減への取り組み体制など
  • D=Delivery 納期:納期遵守率、納期管理体制など
  • D=Development 開発:技術レベル、開発への協力度など
  • M=Management 経営:売上推移、信頼性など
  • C=Capacity 生産能力:人員体制、リソース、稼働率など

 

これら6つのポイントについて、以下で詳しく紹介していきます。

Q:品質

1つ目のQはQualityの略であり、品質の高さと安全性を表します。

現在は変化の激しい時代です。そのため、高い品質を安定して保つことは、優れたサプライヤーの必須条件です。また、より踏み込んだ評価を行うためには、これらの品質をどのような取り組みで担保しているか、といった観点も把握する必要があります。

 

特に、近年は消費者が購買行動に至る動機は多岐にわたりますが、「品質」はユーザーが購入を決意する動機の中でも大きな影響力をもち、製品のみならず、企業そのものの信頼も左右する指標です。品質に関するトラブルからひとたびリコールが起こってしまえば、損害はコスト面以外にも及ぶでしょう。供給者がリコールを起こせば供給が止まって自社の生産活動も難しくなります。特に近年は取引市場がグローバル化していることもあり、リコール時のリスクは軽視できません。

しかし言い換えれば、品質を担保することで顧客のニーズを満たし、製品に付加価値を生み出して他社製品との差別化を図ることもできます。

C:コスト

2つ目のCはCostの略で、その通りコスト面やコストダウンへの取り組み体制などを表します。

価格が安いかどうかだけを見るのではなく、見積もりのプロセスにおけるバランスや品質と費用のバランスなど、各面におけるコスト分析が必要です。

価格交渉の際は、やみくもに値下げを行うよりも、自社の調達状況や市場価格を踏まえて適正な水準を見極めて交渉しましょう。また、サプライヤーにとっても魅力的な取引となるように、「調達条件を緩め、サプライヤー側のメリットを作り出す」「調達料を集約する」といった工夫も必要です。

D:納期

3つ目のDはDeliveryの略で、納期遵守率や納期管理体制など、納期に関することを表します。

気候変動や政治リスク、感染症といった現象は、しばしば安定供給を阻みます。そのため、これらの変化にどれだけ耐えられるかの評価は必須事項です。

また近年、特に調達・購買のコンサルティングの場において議論のテーマが変わってきています。コストダウンを重視した従来のテーマではなく、どのような方法を取ればサプライヤーが希望通りの納期に納入するのか、現在発生している納期遅延をいかにして解消するかが喫緊の課題となってきています。持続可能なワークフローであるか否かという観点で吟味することが求められるでしょう。

D:開発

4つ目のDはDevelopmentの略で、技術レベルや開発への協力度などの開発能力を表します。

製品を世の中に送り出すには、自社の力だけでなく多数のサプライヤーと協力し合う必要があります。例えば、加工メーカー・材料メーカー・部品メーカーなど、多種多様なサプライヤーの技術力を集結できれば、製品として成立するモノが生まれます。

クオリティの高い製品を造るために必要なのは、技術力の高いサプライヤーと協力して開発を推進する取り組みです。そのため、品質や開発体制に向けた取り組みがしっかりとしているサプライヤーの選定がとても重要な事項です。

近年は、特にサプライヤーに求める役割にも変化が起こりました。総合的な開発力が求められるようになってきたのです。製品やサービスの飽和した近年は、品質に置いても「当たり前品質」から「差別化品質」へのシフトを実現できないと生き残りが難しくなります。それゆえに、開発力は重要なポイントとなるのです。

M:経営

5つ目のMはManagementの略であり、経営状態や業績などについての状態を表します。

企業が長期的に発展していくためには、資材や原材料の安定的な調達が必須です。それゆえに、サプライヤーの利益率や財務状況などの、より踏み込んだ把握が求められます。

特に、海外のサプライヤーに対しては、経営状況を評価基準にする姿勢が大切です。評価が甘いとサプライヤーをせっかく探し出しても、契約寸前で経営の悪化を理由に逃げられてしまう事態も発生しかねません。そうなるとこちらが不利益を被る上、相手への賠償も難しくなるでしょう。サプライヤーの経営データの収集は決して簡単ではありません。しかし、できる限りの情報を収集し、経営状態が安定しているかどうかを確認しましょう。

C:生産能力

6つめのCはCapacityの略で、人員体制やリソース、稼働率などの生産能力を表します。

他のポイントと同じように、生産能力は設備やテクノロジーなどの他の領域に依存しており、納期に多大な影響を及ぼしかねません。例えば、製造業において、別の顧客企業からたくさんの注文が発生し、担当しているパーツ注文の優先順位が下がるという事態が起こりえます。これは、生産能力が安定していれば回避できる事態です。信頼度の高いサプライヤーの場合、通常は生産能力の70〜80%で稼働し、生産スケジュールに余裕を持たせています。こういった工夫によって出荷への影響を避けているのです。

優良サプライヤーに出会うためには?

優良なサプライヤーに出会えれば、企業の成長にもつながるでしょう。それでは、優良なサプライヤーに出会うにはどのような手段を講じれば良いでしょうか。以下で4つの手段を紹介します。

展示会などに積極的に参加する

海外において現地サプライヤーを選定するために必要なことが、多くのサプライヤーたちとの出会いです。現地のサプライヤーたちを訪問してまわるのは時間がかかるため、現地で開かれている見本市に参加すると良いでしょう。例えば、香港やシンガポールにおける見本市では、アジア各国からの出展も多く見られます。展示会は逆見本市とも呼べるもので、買い手が売って欲しい製品を展示して、売り手を探すという形式も特徴です。見本市や展示会などでいくつかのサプライヤーとコンタクトを取る、後ほど訪問するなどの方法が取れるでしょう。

既存サプライヤーを見直す

業界の中には、時代の移り変わりや政策方針の転換、技術革新といった要因に伴って、商品の原価率や料金体系が大きく変わる業界もあります。

例えば、MVNOや電気代などは、国の政策方針の影響を受けて、新しいプランが発表されるなど、金額が変わりやすい費用であるといえます。また、パソコンや各種デジタルデバイスは、半導体などの性能向上によって、既存モデルの価格は大きく下がります。

このような費目については、新しいプランの発表などにすぐに気づけるよう、社内で定期的にサプライヤーを見直す習慣と意識を持つことが大切です。

サプライヤーを探し続ける

優良なサプライヤーに出会うためには、サプライヤーを探し続けましょう。

つまり、サプライヤーの積極的な発掘も大切な取り組みです。サプライヤーの発掘が必要になるケースは以下のようなものが挙げられます。

 

1.戦略上、新規のサプライヤーが必要である場合

2.既存サプライヤーからは調達できない仕様や製品が必要な場合

3.既存サプライヤーだけでは、将来的に安定した調達が難しい場合

 

新規サプライヤーを発掘するためには、最初に自社が将来的に必要であると考えられる仕様を予測して、それを理解する必要があります。同時に、競合他社の調達構造を調べる必要もあるでしょう。

一見難しそうですが、サプライヤーからヒアリングしたり、特定業界では各社の調達構造が書籍化されていたりするケースもあります。まずはリサーチを徹底したり、各方面のサプライヤーとコンタクトを取ったりしながら、取引の可能性を探ってみましょう。

サプライヤーの育成を図る

より優秀なサプライヤーと取引をするためには、サプライヤーを発掘するだけでなく、既存サプライヤーを「育成する」という視点も重要です。

サプライヤーの育成とは、自社の要望をサプライヤーに明確に伝えて理解を得る、業務品質についてこまめにフィードバックを受けるなど、企業とサプライヤー間相互にとって望ましい関係を構築していく取り組みです。継続的に取引の拡大を目指すためには、発掘ではなく育成の観点の方がより重要になるケースもあるでしょう。

サプライヤー選定は様々な視点が必要

サプライヤーを選定するには、ひとつの視点だけではなく、幅広いさまざまな視点を持つことが必要です。決済者から現場に至るまで、会社全体の意見を取り入れて選定する必要があります。

そのため、独断でサプライヤーの選定を行わないようにしましょう。

また、サプライヤーを選ぶ際の基準としては、金額が最も重要ではありますが、そのほかにも自社の求める要件を満たしているかどうかは詳細に調べましょう。サポート体制や企業の評判、品質などはその例です。

さらに最近ではCSRに力を注ぐ企業が増えています。CSRとは、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のことであり、企業が自社の利益だけを追求するのでなく、環境や差別といった問題も考えて、社会に対する貢献をすべきであるという概念です。

こうした社会的にクリーンであるかどうか、企業として社会における持続可能性のある組織であるか否か、という観点も重要でしょう。

まとめ

サプライヤーは企業活動をスムーズに行うために欠かせない存在です。優良なサプライヤーと出会い、契約にこぎつけるには紹介した6つのポイント「QCDDCM」をしっかりと意識しましょう。6つのポイント「QCDDCM」はどれも優良なサプライヤーにとって大切な要素です。どこかに偏った基準ではなく、6つのポイントをバランス良く評価するように心がけてみてください。そして、無事に信頼できるサプライヤーを選定できたとしても、それで終わりではありません。納入実績の履歴を取り続け、継続的にサプライヤーを評価し続ける姿勢が大切です。ぜひこの記事を参考にして、最適なサプライヤー選定をスタートさせましょう。